南の置かれてる立場も、俺のどうしようも無い現状も理解してる。
頭では解ってる。

それでも理性を押し退けて、感情が叫ぶように声を上げる。

あいたい。
南に会いたい。

…今日はきっと、そういう日なんや。
たまたまそういう日やっただけ。

***

二ヶ月。
忘れてたわけやないけど過ぎてもうてたな。
こんな俺なのに、まだ離さへんでいてくれようとして、おおきに。

結婚式。
…まぁ親族側と言う事で今日はゲストっちゅうよりホスト側。お陰様でくったくたになって帰ってきたんやど、エエお式で幸せな気分になった。
新婦側、ちゅうのもあったんやけど、花嫁がニコニコと嬉しそうで楽しそうで、なんやそれだけで俺も幸せになってもうた。
バタバタしとって写真も満足に撮れへんかったけどそれもきっとエエ思い出やな。

普通は花嫁の母親が担うであろうお色直し前のエスコートっちゅう大役を不意打ちでご指名されてもうて若干あたふたはしてもうたけど(笑)
二人で歩く道すがらフラッシュを散々浴びつつ笑顔振り向いてたんやけどあんまりにもまぶし過ぎて何処に笑顔を向ければエエか分からへんで、…それでも歩きながら繋いだ手の強さに、こないな風にして手を繋ぐのなんて何年振りなんやろ、て感慨深くもなった。

結婚式って夫婦だけのもんやないんやな。

これからも幸せに。
ずっと笑ってて欲しい。
そう思えた一日。

***

とはいえ明日からは現実でまた学校の日々やっちゅう事で今日は早めに就寝や。
おやすみ、南。

最近はろくに日記も書けへんなぁ。
ホンマは毎日少しずつでも言葉を綴るんが目標、やったんやけどそれどころの話しちゃう。あれこれ日記覗いてほうほう言うてたら終わってまう。
私信貰ってたりバトン回して貰てたりでありがたい限りなんやけど、なかなか返す余裕がなくて申し訳ない。
来週の土日はぼーっと過ごす時間を確保出来る筈やからその時にさせて下さい。バタバタで適当に返す事だけは避けたいねん。
ホンマにありがとう。と、ごめんなさいをここに。

***

昨日は結局休めるような状況ちゃうかったからふらふらしながら学校に行ってきた。久々に明るい時間に帰れて気分的には晴れ晴れしとったんやけど、そもそも休みの日やんな。……まぁエエわ。一人きりやったわけちゃうし。一人やったら確実に凹んどった。

そんで、今日は一日買い物。今帰りの電車や。
ホンマは昨日行く筈やったけど、まぁ前述の通りやったので、しゃあなしに今日行ってきた。目的のモンがなかなか見つからんと、あれやないこれやないと散々ぐるぐるする始末。
…明日は親族の結婚式に出なアカンからその準備やってんけどな。前日に慌てて買い揃える羽目になるとかどないやねん。
まぁぎりっぎりの時間になんとか納得出来るモンを見つけたから他に選択肢もなく、それに決定。最後にマッサージ受けてこの時間。マッサージの人に「だいぶんお疲れですね」て多分四回くらい言われた。どんだけ疲れてるんや、俺の身体。

あとは飯食って風呂入って最終確認して…早よ寝らんと。朝も早いんやし。

南も今日も忙しい。俺よりもマッサージ必要としてるんは南の方やと思う。南にも受けさせたりたいなぁとかぼんやり思うた。
多分帰りまで起きて待ってられへんから、ごめんな。
俺だけ休みで堪忍、て最近はよく思う。早よ一緒にゆっくり出来る日が来たらエエのに。

…ああ、甘えたい。甘やかしたい。
そないな欲求ばっかり溜まってまう。南が不安にならへんくらい、しっかり抱き締めたりたいわ。

そないいえば今日は祝日やったっけ、とか思い返しながら学校へ行く準備をする。
激しくは無い、柔らかい朝焼け。
きっとこういう時間が積み重なって、冬になっていくんやろなぁ。


(あ、なかなおりはしました。と一応ご報告)

浮気を疑われた上に名前間違えられた。
これってどういう事。
なぁなぁなぁ、南くん。どういう事なんやろ、なぁ？

とりあえず腹立ったのでここに晒しとく。
晒せるレベルの腹立ちで良かったな、て言うとくで。勿論嫌味やで。

南のアホ。
つーん。

アンケート、て。
その内容の初々しさになんや付き合いたてのカップルみたいやなぁと思わず頬を緩めた昨日。
…や、ちゅうか俺たち確かに付き合いたてのカップルやった。
まだ二ヶ月も経ってへんのやな。
もっと長く一緒におる気が勝手にしてたで。

***

まだ寝てるやろうから(むしろ寝てて欲しいから)ここで。

いってきます。
南も無理せんといてな。

いつも通りぎりっぎりまでしとった作業の残りの事を考えながら昇降口を出たら、その明るさに吃驚した。
その明るさは眩しいわけやなくて、せやけど地面にくっきりとした影を落として、なんや凄いなぁ思いながら顔を上げたら少し掛けた月がそこにあった。

(ああ、十五夜やったっけ)

中秋の名月、なん、すっかり忘れてまうような毎日。

***

きっとあの子はこんな月が出てるのも、見上げる暇が無いんやろうなぁ。
一緒に月見でも出来たらエエなとか思うたけど、今の俺たちにはそないな余裕が有る筈もなく、残念に思う。

綺麗なものを見て、美味いモン食べて、少し笑って、何かに心を揺さぶられて、その度に、あの子がここに居たらエエのになぁと思う。
そないな風に、俺はあの子を思い出す。

俺は、そないな風にあの子の事を、好きやと思う。

…な。
好きやで。

もやもや、もやもや、もや。
折角めっちゃ久々に会うたっちゅうのに別れ際の微妙さに、なんやら胸の内がおさまらへんので吐き出してみる日記。

(もやもやも、や)

***

決まって俺らが会うのはあの子の家で、理由は単純に人目を気にせぇへんでエエっちゅう気軽さから。
絶対ここなら誰にも会わへんっちゅう場所でも、あの子は過剰なスキンシップを厭う。…可愛ェやろ？可愛ェねん。
まぁそんなわけやから、イチャイチャしたい=安全な家の中、になる。けっしてベッドがあるからではない。(と、あの子の名誉のために付け加えとく)

あの子の家のリビングに通されて、話しながら、どないやって触れようか、なんて二人して様子をうかがって。
そないな時間も、俺は嫌いちゃう。
…よーやく触れたと思ったらタイムアウト、とかでもな。
そこに後悔はない。断言する。

***

せやけど後悔があるとしたら、あの子に勘違いさせてしもた事やろか。
あの子はきっと、会いたいのは自分ばっかりやと思うてる。会いたい自分に俺を付き合わせて、貴重な睡眠時間とかを削らせてる、と思うてる。
…あほやなぁ。
こんなに毎日バタバタ忙しいのに、今日に限って早めに終わらせて来たのは俺も君に会いたかったからやん。
たまに早く帰れるなら休息に当てて欲しい、て君は言うけどそんなん本末転倒もエエとこやん。
君に会う為に早よ帰るんやで。君に会われへんならいつも通りの時間迄パソコンと睨めっこしとるっちゅうねん。
君に会う為に早よ帰れる様に、早起きして学校に行って、少しでも時間稼いで…会えへんならそないな事する必要ないわ。

会いたいのは君だけですか？
いいえ違います。
俺も君に会いたい。せやから頑張るんやで。

そこんとこ覚えといてな。

***

自称忙しカップルの俺たちは、俺も忙しいしあの子も忙しい。まぁ同じ部長同士とはいえ学校が違えば忙しさの内訳がちゃうのは当たり前の話。

いつもほぼ同じ時間に登校して同じ時間に帰ってくる俺と、その日によって拘束時間が違うあの子。
俺はペースを掴んでしもたらある程度の融通は利くけど、あの子の場合はそうはいかへんくて、早朝の暗いうちに学校に行って帰ってくるのは日付もとうに変わった深夜とかも、ようある。たまに普通に出て夕方に帰る、とかもあるみたいやけど、俺はあの子のそれをあの子が語る以外に知る術がない。

今日は俺は無理矢理早よ帰って来たわけやけど、あの子は夕方のうちから俺の帰りを待っててくれて、…待たせるばかり、で。
せやけど明日は俺が寝てるうちにあの子は出掛ける。
そないな時間を聞いたら、ほんならもう寝よ、てしか言えへんやん。しゃあないやん。

(さて、ここら辺で何を言いたいかわからへんくなってきてしもた。どないしよ)

***

…時々、な。
こない忙しいんなら、あの子を待たせてばっかりなら、俺はむしろ君のそばに居らへん方がエエんちゃうかな、と思うんやで。
自分の時間をフルに使って、あの子の帰りを待てるような。そういう人が君にとってエエんちゃうかなぁ、て。
思うたりするんやで。
言わへんけど。

***

君が会いたい気持ちを優先して多少の無理をしてくれるように、俺かて多少は無理してるけど君に会いたいねん。
君に付き合って会うてるわけとちゃうねん。

俺が、お前と、一緒に居たい。

…待たせてばっかりやけど、気を使わせてしまうかもしれへんけど、お前ばっかりが好きなわけとちゃう。
そこんところは忘れられへんといてな。

(そしてまとまりのないまま終わるっちゅうな)

相変わらず忙しい部長業に委員会の仕事。付いでになんやらクラスの方でも役職持ちの級友の手伝いとかさせられとって。
幸いなんは、どうやら特別課外で出されとる課題から一抜け出来そうや、ちゅう事。
自分から望んで課外に参加しとるならまだしも、無理矢理人数合わせみたいな形で引っ張り込まれてもうたそれにやる気も出るわけがない。
無駄は嫌いやねん。

***

すっかり朝と夜は冷たくなってもうたし、空もすこんと遠くなった。風が乾いてるのを肌で感じる。
秋やなぁ、と思う。
夏を満喫する間もなく、花火も水遊びもする事もなく、秋がきてもうた。

***

秋は、もっと南と思い出が作れるやろか。
俺に余裕が出来たら、もっとたくさん一緒にいよな。

今日はなんでか、無性に南の夢でも見たい気分。

ここにおかえりとおやすみを置いていくから、気付いたら回収して俺んとこ来てな。
待ってる。

もやもやする、と言い残して布団へと先に入ってしもたあの子の事を思う。
窓を強く叩く風のせいや、と君はそう言うたけれども。

本当にそれだけ？と疑うてしまうのは、即ち自分があの子をそういう気分にさせてもうてるんや無いかと思うてるからで。
そう、思うだけの根拠もあって。

…傍に居って大丈夫やでと手を握れぬ自分に歯噛みする。
ごめんな。
力不足で傍にいれへんくて、ごめんな。