なァ、安心しろよ。

何時だって御前だけを想ってる。



後程。

変な時間に目が覚めちまった。
…隣から聞こえる規則正しい寝息をBGMに、眠気が再び訪れる迄筆を滑らせる事にする。

つうか、常々思ってるンだが、可愛過ぎるだろ、此奴。
戯れよりも甘く、其れでいて偽りのねェ言葉の数々に俺が何れだけ喜んでいるか判ってンだろうか。
紡ぐ言葉や態度総てで俺が好きだと伝えてくる姿が何れ程嬉しいか。
……何て、そんな素直な此奴が俺も好きだから良いンだけどよ。

だが、偶に思う。
揶揄さえも喜ぶ此奴が、怒る事が有るとしたら、其れは一体どんな刻なンだろう、と。

連絡が疎らでも怒らねェ。…否、怒らねェから疎らになってる訳でもねェが。
揶揄っても精々拗ねる程度。


別に怒らせてェ訳じゃねェが、ふと気になった。



ま、怒った顔より、照れたり喜んだり……慌てたりしてる面を見てる方が面白ェし良いか。


……さて。
書いてる内に眠気が再びやってきた。
彼奴が起きる迄後数時間しかねェが、其れ迄は、共に。

日付変更と同時に届いた手紙。
何時もは既に夢の中であろう時間に、届いた其れが至極嬉しくて。

常日頃、想われている事は身を以て実感してるが、より愛しさが増した日、とでも云えば良いンだろうか。


唯、御前が隣に居て。
１番に俺を想い、愛してくれて。
俺も、御前を想い、傍らに居て。
其の、俺と御前の在り方が極自然体である事もまた、嬉しくて。


なァ、御前に出逢えて良かった。
ずっと、傍に居ろよ。

眠る御前を横目に日記を開く。
09月29日が…、御前の誕生日が終わる其の直前に言葉を残そうとして…、先に御前の綴った言葉が目に入る。

確かに、俺達は頻繁に連絡を取り合ってる訳ではねェ。デートも、月に一度出来たら良い方だ。
もしかしたら、御前が良く嫉妬する原因は、こういう些細な処に有るのかも知れねェ。
まァ、其れだけじゃなく、単に常に俺の心を御前だけで支配してェっつう独占欲故の嫉妬も含んでるンだろうが。

其れでも、ンな独占欲が嫌じゃねェし、離れていても何処かで繋がってるっつう自信が有るのも確か。
此れが自惚れなら唯の大馬鹿野郎だろうが、自惚れじゃねェと断言出来る。…ま、人によっては断言出来ちまう事自体が自惚れと取るかも知れねェが、他人なんざ関係ねェ。

事実、俺の隣には御前が居て、俺に溢れンばかりの愛を届けてくれる。
自惚れンな、つう方が無理だろうよ。

だが、偶に不安になる。
俺は御前をちゃんと包んでやれてるだろうか、と。
愛を囁くのは御前だけ。此の手に抱き締めるのも、俺の総てで愛でるのも、御前だけ。

御前以外には興味はねェ。
御前が居れば其れで良い。


なァ、届いているか？
全部受け止めてくれるか？


願わくば。

来年も再来年も其の先もずっと。
御前の１番近くで此の日を迎えられます様…。

誕生日おめでとう、亮。

愛してる。

さて、何を書こうか悩んでる彼奴を横目に見つつ、先にペンを執るとするか。

彼奴と出逢い、共に歩み始めて来月で一年半になるンだが、相変わらず良く恥ずかしがるし、俺の言葉に動揺を隠せねェ事もしばしば。
まァ、其れが彼奴だろうし、変に慣れられてもつまらねェから良いンだが、本当揶揄い甲斐の有る奴。
プラス、心配性。
俺が他を見ねェか、心配し過ぎなンだよ。
御前以外興味ねェと、何回云ったか判らねェ程。
…だが、不安なら其の不安を安心に変えてやりてェし、今迄も此れからも、其れは俺の役目でありたい。


だから、なァ。
何でも云って来いよ。
全部、受け止めてやるから。