本の匂いは嫌いじゃない。
何と無く落ち着くんだ。
新品でも古本でも。
独特のインクと紙の香り。
問題集ならばそこに問題の答えを書き込むペンの香りも加わって授業を思い出す。
ああ、現役中学生の俺が授業を懐かしむのはおかしいかな。
でも、平日の授業風景を思い出すんだよ。
揃った制服、先生の声、同級生の小さなざわめき、ひそやかな手紙のやり取り、それを1番後ろの窓際の席で眺める、俺。
窓から見る景色、季節の移り変わり、桜、青葉、落葉、枯木に雪。
きっと、卒業する時はエスカレーター式だと言ってもこの教室や校舎、テニスコートに名残惜しさを感じるんだろうと言う予感。
はは、勉強していると余計な事ばかりしたくなるね。
これでは赤也の事を集中力が足りない、
だなんて注意出来なくなってしまうな。
さて、もう少し集中。頑張ろうか。
彼は今夜楽しめているのかな。
俺も行きたかったけれど暫くお預け。