日記一覧
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Le Coin Ensoleile
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19 :
幸村精市
2012/06/11 20:16
学校から家までを遠回りして帰ったら、途中の細い道で1人きりになった。
この時の不思議な気分は他では味わえない。世界中でたった1人になってしまったような寂しさと、ずっと昔から大好きだった人に会った時のような懐かしさで胸がいっぱいになる。
聞いていた音楽を止めて、イヤホンも外して。
車も人も通らない通りが、だんだん夕闇に包まれていく瞬間が好きだ。
小学生の頃は母親に、危ないから人通りのある通りを帰れってよく注意されたような気がする。
でも、一度知ってしまうと、あの瞬間のあの気持ちをまた知りたいと思って、何度も遠回りしてしまうんだよね。
……贈り物に関してだけど、真田は何か欲しい物、思い浮かんだ?
俺は、考えたら色々出てきたんだけど、どうしても真田には欲しいと言えない物ばかりで(正確には物ではないかも知れないけど)少し悩んでいるよ。
普段ストイックな真田が何を欲しがるのかも、俺には思い浮かばない。
そういえば、前に部の皆で好きな女の子のタイプの話をした時も、たるんどる!って言ってて結局教えてくれなかったね。
よく考えれば俺は真田の事をまだまだ知らなくて、でも、たった3ヶ月にしてはたくさんの事が知れたような気にもなって、そんな中で葛藤した。
いつか真田が俺に言ってくれた言葉が忘れられない。
お前には求める権利がある。俺は拒んだりしない、お前を嫌ったりもしない。
どうして真田の言葉は、こんなにも俺の心を打つんだろう。
優しくて、いつだって正直な真田は、どうしてこんな俺を認めてくれるんだろう。
この言葉は、俺が真田を想う事を許されているような気がして、すごく嬉しかった。
これからも、真田の傍に居られたらいいと、心から思うよ。
最後にひとつ。
昨日、真田は黒いうさぎに似ていると言ったけど、今日になって鳥みたいに翼のある動物かもしれないとも思った。
全国大会の時、手塚との試合に向かう真田の背中に、どこへでも羽ばたいていけるような羽根を見たような気がしたのを思い出したんだ。
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