日記一覧
残酷エゴイスト
 ┗5

5 :跡部景吾
2011/10/10 23:49

傲慢な支配欲に溺れた王様。

生徒会選挙がつい先月に行われ、俺は実質の生徒会引退。約二年間半居座り続けた頂点からその身を引き、新たなる支配者にその席を譲り渡した事は未だ記憶に新しい。肩の荷が降りたと言えば嘘ではないが、俺の後を継ぐ者達が心配ではないと言えば嘘になる。

選挙当日、俺が新たなる後継者の応援演説をしている中。静寂に包まれた体育館にはマイクに通した俺の声だけが響き渡っていた。教員を含んだ全校生徒が俺の声に吸い込まれる様にして聞き入り、中には涙ぐむ者さえいた。

――…ああ、そうか。もう半年も無く俺は此処を卒業するのだと、今更ながら実感した。思い返せば一方で氷帝テニス部の頂点に君臨し、立ちはだかる難敵に挑みテニスに明け暮れる日々を過ごしながら、生徒会長として常に生徒会という存在は俺にとって当たり前のものとして傍らに存在し、大切なものとなっていた。

寂しくないと言えば嘘になる。
限り有る時間に追われ、時には睡眠時間を削り仕事に明け暮れた日々。こなさねばならない課題が積み重なり多忙過ぎる日に頭を悩ませた事もあった。

だが、その二年間半という短い時間の中で手に入れたモノは、何者にも代える事の出来ない、かけがえのない、

確かにそれは…"仲間"だった。



…お前は、俺に、俺のようにはなれないと泣き言を吐いたが、どうして俺と同じようになる必要がある?

誰も俺と同じようになれとは言わねぇ筈だぜ。変なプレッシャーなんざ抱えてねぇでお前はお前の思う氷帝学園中等部を作っていけばいい。

もう、生徒会長跡部景吾はいない。
これからはお前が生徒会長だ。胸張って堂々と前だけを見据えてろ、俺の思いは全てお前に託したぜ。



だからこそ、俺は敢えて何を告げる事も助言もしない。例え、アイツ等の事がどんなに心配だったとしても。

…先に、高等部で待っている―…なんて台詞は少し早い卒業のようか。だから代わりに俺から最初で最後のエールを送るとしよう。

如何なる理由があろうとも、最後まで自分を信じろ。

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