日記一覧
┗
Vocalise
┗14
14 :
跡部景吾
2012/01/26 23:36
瞳を上げたら何時も御前が居たあの頃。
music
Ste/vie Wo/nder :Rib/bon In/ Th/e Sk/y
後にも先にも伊達眼鏡を侑士と呼ぶのは彼奴だけだったと俺の中で妙なけじめと言うのが有り、
俺の名前にちゃん付けさせても一向に嫌悪感を覚えないのは彼奴だった。
殆ど消え掛けた時間の中で鮮明に覚えているのは、
彼奴の漕ぐ自転車の後ろに乗せて貰い、海岸まで連れて行って貰った日の事。
自転車から降りて海に落ちて行く太陽を肩を並べて座り見ながら今日在った出来事を話している最中会話が途切れる。
横を見ると俺の肩に凭れ掛かり何時の間にか寝てしまった彼奴の寝顔を見ながら正味3時間半。
肩に掛かる重みと穏やかな寝息と海を染める紅の色。
どれも此れも暖かく幸せな時間で、日没後冷気を感じる空気に彼奴の躯を冷やさない様に上衣を脱いで掛けて遣り俺は黙って海を見詰めて居た。
起きた後の平謝りの様子に家まで送って行けば赦して遣るなんて生意気を言ったが、謝られるより礼を此方が言いたかったぐらいだ。
俺に心を全て傾けてくれて嬉しかったと。
寝不足を押してまで会いに来てくれて有難うよと。
あの頃
彼奴の世界は俺で俺の世界は彼奴だった。
もうあの煌めきは2度と戻らないけれど、
俺がもっとも俺らしく居られた頃。
頑なに見っとも無いと感じながらも彼奴に俺と言う人間を分かって貰いたくて泣いて笑って素直に感情をぶつけていた愛しき日々。
御前から一杯貰ったモノは未だ俺の中に残っているのだろうか。
共に過ごした記憶は薄らいでいても
人生で一番大変な転換期の頃、何時も傍らで肩を抱き寄せていてくれた温もりだけは忘れてはいない.
もう俺の声は御前には届か無いが…
此の世界でもっとも愛しくて大切だった人。
俺に全てを委ねてくれた人。
会えるものなら…会わせて欲しい。
全ては夢の泡沫
[
削除][
編集]
[
戻][
設定][
Admin]
