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1065.ラストノートがわからない
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12 :タルタリヤ
2023/10/28(土) 17:42

🐋🏹恋慕は海にあるが飲み干せ

鍾離先生の乱入はとても嬉しいけど書き方が何だか懐かしくて笑ってしまった。鍾離先生からの最初の書置きは確か、俺が呑み慣れない味わいの強い酒を呑むと(スネージナヤ人的には些か情けないが)短時間酔ってしまう癖があってそれを案じた先生が二日酔いになっても良いよう粥と一緒に置かれたものだった。
文章の段落を下げる、少しだけ淡白。でも歳上の世話焼きが滲み出ている。
関係性を結び直してから数日後。互いの話好きが功を奏してか、鍾離先生に習った互いの元素を基に手紙を飛ばすやり方を利用して離れていても会話をそれなりに出来ている現状ではそういう格式はだいぶ緩くなっていて、今でも手紙を保管している箱を整理する度に少しずつ文章が砕けていて笑ってしまう。日にちだけ見るとそう長い訳でも無いんだけどね。
……今にして思うとあの頃から先生からの手紙に時々、先生愛用の香膏か香炉の匂いがほんのり付いていた理由は調教の類なんじゃ?そのつもりだって言うなら大成功だよ畜生。お陰でサンダルウッドは俺の好きなベースになったよ、銀行員殿ないし外交官殿(鍾離先生から時々言われる執行官業してない時の俺への固有名詞のバリエーション)してる時しか香水なんて付けられないのに。

先生にも直接言ってきた事だけど、日記の表題に掲げている言葉はスメールへの出張中に先生から貰った手紙の中の一文だ。
鍾離先生は料理も想い人も五感で記憶するものだと考えているらしい。懐かしい味で故郷の景色を思い出し、愛しい香りで焦がれる温度を思い出す。
この考えは俺の中では中々新鮮で、噛み締める度に胸の奥が切なくなる。勿論良い意味。分類するなら間違いなく殺し文句の類。
先生の物の見方が少し分かった気がして嬉しかったのと、これを踏まえて俺への戯れを振り返ると合点のいく事が多かった。
視覚と聴覚はそれなりに距離が離れていても知覚できるけど、残り三つは意識して近付かないと分からないものだ。
俺に興味を向け、手を伸ばして届く距離に置いても良いと思ってくれていて、鍾離先生の中に置いておくに値する存在になれたんだ、って強い実感が俺に届いて惹きつけに来る。血の巡りすら愛おしんでくれる一途さは家族からでも頻繁には得られない愛情なのだと気付いた。
出張から帰ったその日一緒に寝て目が覚めた昼前、思わず呟いた表題の一文に返される小さな言葉も瞬きを繰り返さないと愛おしさが溢れてしまいそうになる。大切なものを貰えた子供みたいに誰かに「みてみて」としたくなったのは、何歳の時以来なんだろうか。そして今に至る。
───何度だって俺に焦がれていてよ、鍾離先生。その数だけ名前を呼んで、胸に飛び込んで髪を掬い取るから。刃を交えるのはその後だって構わない。
人として生を何時か終えた時の俺の魂が次の場所に行く為の時間すら寂しくなってしまいそうで、永い時すら欲しくなってしまった責任はちゃんと俺が取るよ。


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