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1065.ラストノートがわからない
 ┗16

16 :鍾離(乱入)
2023/11/09(木) 18:52


  • 🐉🔶10/29-11/09

     往生堂に勤める俺の仕事は主に璃月の未来を担う若者たちへ守るべき伝統を託す講義、堂主に任される細々とした作業や買い出し、そして仙人を送ることだ。
     璃月には人々が知る以上に多くの仙人が住んでいて、その存在を広く知られないまま永き眠りに就く者も少なくない。伝統的な送仙儀式だけではなく、静かに暮らしてきた仙人たちが亡くなったときは彼らの尊厳を守るため静かに送り出している。帰り道は決まって星が遠くに見えて少し寂しく、酒を手に夜明けまで偲んでいたのは以前までの話。この頃は毎晩どちらかの洞天で恋人と共に眠るのが習慣となって、基本的に帰りが遅い俺を迎えるのは空の洞天ではない。愛しい恋人が待っている「家」だ。

     凡人として生きることを選び、烏滸がましくも使命と呼びたい責務を果たすべく日々往生堂に通っているのだが、堂主も鬼ではない。余程葬儀が立て込んでいなければ私用で休暇をとることも可能だ。「公子」にそれを伝えたら遠慮がちに俺の時間が欲しいと言ってくれた。きっと勇気を振り絞ってくれたのだろう、あまりにもいじらしく愛おしさが溢れてしまったものだから、俺は二つ返事で了承した。
     山の方へ出かけて花や鳥を愛で、璃月港の店を見て回り、講談や芝居を楽しみ、時には旅人に付き添って魔物の討伐や秘境巡りに力を貸す。以前はそうしてゆとりある時間を過ごすのが好きだった。今の俺は一分一秒を惜しみ、少しでも多くの時間を……一つでも多くの表情を彼から受け取り、同じ数だけ渡したいと願っている。

     休日が近付いてくると浮かれてしまうのは、凡人として正しい感情なのだろう。そして同じくらい彼も浮かれていて欲しいと希うのは、紛うことなき恋心だ。


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