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1065.ラストノートがわからない
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27 :アルハイゼン(乱入)
2023/12/05(火) 07:15

🌱🎧11月16日から

書いていた物らしい。
誕生日のはしゃぎ疲れと寒暖差の影響か、少し体調を崩して療養すると聞いたから、眠るのに飽きたときの暇潰しになれば幸いだ。

独り言のような日記
どうしても自分を文弱と言い張るなら偶には論文や本ではなくこの便箋に向き合ったらどうだ。──と、同居人が言っていたことを聞いてやる義理もないのだが、俺がなにか書くことで彼女の表情がひとつ増える可能性を考えた途端に興味が湧いてきた。

書記官の仕事は簡単で、余程のことがない限り定時通り速やかに家に帰るのが俺のやり方だ。一時的に代理賢者として他の仕事が降り掛かっていた時期もあったが、それでもプライベートな時間を奪われないように立ち回っていた。
そんな俺の何を知っているのか、忙しい君に愛情を育んで恋人を作る暇があったのか、そのひどい性格で交際相手を傷付けるのではないか、少なくとも騙されることは無いだろうし利害の一致から共に歩むことを選んだのか、……などと、交際を知られたときはしつこく詰められたものだ。
手のひらを返すようだが、俺をよく知っているからこそ湧いてくる疑問なのだろう。確かに俺は恋愛経験に乏しく、人間関係も自分の感情と利益を優先している。何をすれば自分に対して親しみを持つか、何を言えば傷付くのか、考えて実行するのは何も難しくない。ただ、やりたくなければやらないし、言いたいことは言う。それで相手が何を感じようと俺には無関係だ。
件の活躍から彼女とは今後も良好な関係を築いていくべきだと考え、当たり障りのない交流を続けていた。プライドの高い学者が他人に何か質問したり意見を求めるとき、そのほとんどは自分の理論の方が優れていると言い返すためか、何らかの理由で相手に媚を売りたいと考えている。しかし彼女が俺に何かを聞くときは純粋な好奇心で、持ち掛けてくるのは議論ではなく他愛もない雑談。彼女の振る舞いは俺にとって新鮮で興味深く、穏やかな雑談を楽しんでいると自覚した時は少しむず痒かった。
食事の席で一口ごとに極上の笑顔を浮かべるのも見ていて飽きないし、時々届く手紙の隅に描かれる落書きは数式や図形に見飽きた心を癒してくれる。家でも彼女からの手紙を読む機会が増えて、本を読む時間が減った。返事を書くことに集中して、同居人が模型を叩き回したり図面を前に唸る騒音があまり気にならなくなった。これらの変化は同居人から伝えられたことで、言われるまで自覚がなかったのは俺の中で深い思考に繋げられない不可解な感情が増えていることを意味する。
彼女のどこが好きか、何をされて嬉しく思ったか。言語化するのは簡単だ。それでも多くを具体的に語りたくないのは所謂、独占欲というものが俺の中で邪魔をしている為と考えるのが妥当だろう。彼女の性格と人柄、ダンスの技術や容姿といった誰もが知っている魅力に加えて、俺だけが知っていればいい魅力は大事に隠しておきたい。
……だが、「誕生日のおねだり」に俺からの言葉を望んだ彼女が喜んでくれるのなら少しだけ。俺は彼女の大胆で積極的な振る舞い、真っ直ぐな言葉や愛情に敵わない。俺を「かわいい」と愛でるときの眼差しも最初は妙な趣味だなと感じていたが、最近は嬉しく思う。あとは……爪。今回はこの辺りで許してほしい。

それでは、またいつか書き溜めたら挟んでおく。


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