さて、僕がここで、君たちとそれから彼の前に顔を出すのは初めてだったな。僕はべリタス・レイシオ。書籍やメディアで取り上げられているように、博識学会に所属している一学者だ。同時に、ここの主人と戦略的パートナーとして、プライベートでもパートナーとして関係を締結させている者、だとも言っておこう。​数日前の彼の書き置きを見たならば、多数の人間から『人でなし』と石を投げられそうだが、まあいい。ひとまず、今は自己紹介だけを残しておく。僕はこういった交流に関しては知識が浅いので、なにか不手際や誤りがあれば、君が手直ししておいてくれ。ギャンブラー。

ついに教授と恋人になった。少しいざこざはあったけど、それがきっかけで彼が決心してくれたらしい。うれしくて舞い上がってしまいそうだ、いや、舞い上がっているんだけど。恋人になってからというもの、自分からキスしたりハグしたりするのが出来なくなってしまった。意識しすぎて。初々しいといわれたけど、恋人となると意識してしまう。今までは全然気にならなかったのに。……どうしたらいいんだろう、僕はこの先まで行きたいのに。でもどんどん触れ合っていたら慣れてきた、……ような気がする。レイシオも他人行儀なのは嫌だって言っていたし、早くなれてあげたい。

求められないことがこんなにつらい事だなんて知らなかったな。「僕以外見ないで欲しい」と一言言われたいだけなのに、もう二度と言ってくれないらしい。酷い男だ。自由にしろとも言われてしまった。そのくせ、僕のことを好きだという。ああもう、どうしたらいいんだ。僕は変わらずレイシオだけをみるつもりだけれど、それが彼の負担になっていないといいな。待つのは寂しいけど苦しくないし、やりとりを思い出してあんなことあったなあって思うのも好きなのに。レイシオは待つことにトラウマがあるみたいで、僕に同じ轍を踏ませたくないらしい。僕のことを考えてくれるのは嬉しいけど、他の人のところに行けって言われた方がつらかったよ。感情って難しいね。