「わたしは……あなたの隣に一番ふさわしいレディになれているかしら…。」
彼女の唇が言葉を紡ぐ時、優しげな眉の下でふたつの目が瞬く時。露や雨に濡れた花が震えるようで、そっと包み込みたくなるようなその可憐さが好きなんだ。
でも、自信のなさそうな声で囁いた彼女が、ふと強気な顔を作った。両手をこめかみに添えて、言葉通り『作ってみせた』んだ。自分を奮い立たせようとするみたいに。
あの儚さがかわいくて、守りたいと思う。だけど懸命に作った表情が「あなたの隣にあるべきはわたし」と語っていて、その強さにときめいたのも、また本当のこと。
彼女の隣だからこそ、僕は『世界一素敵な王子様』になれる。お姫様に全身着替えさせてもらうような甘えっぱなしの王子様だけどね…。