ぼくが桜の葉の塩漬けが好きだと耳にした途端、そいつは有名な製菓メーカーの桜スイーツを計四種類も送りつけてきた。以前ぼくもぼくで、ヤツがコンソメ味を好むと知ってやれお徳用のコンソメスープやら各メーカーのコンソメ味のポテトチップスをぎゅうぎゅうに箱へと詰めそいつにくれてやったものだから、お互い様と言うべきなんだろうが、それを差し置いてもこいつが寄越してくるものは毎度適量という言葉を知らないようで、しかしそこにこいつらしさを感じてもいる。凡そぼくがそれらを食べて、「美味しい」と喜ぶ姿が沢山見たいがためだと思うと愛らしさすら感じるし……というのを本人に伝えると、あのマヌケ面がにんまりと弧を描いてこちらを見てくる気がしてならないから、ここだけの話にしておくとしよう。まあどうせヤツも読むんだがね。そういや、シフォンケーキをホールで寄越してきたとき、ぼくの胃の許容量じゃあ三日三晩あってもホールケーキをひとつ食べきるなんざ到底無理難題だからと小分けにし冷凍しておいて、ひとつひとつゆっくり味わっていたら「まだ残ってたんだ」と驚かれたこともあったな。ヤツは一体ぼくがどれくらいのペースであれを平らげると思っていたんだ？

✑ 下ネタ。

　ヤツとその友人がセクシーに聞こえるがセクシーではない言葉を題に沿って言い合うなんてどこで覚えたんだか分からない遊びを始め、「お」から始まる言葉というお題を出されたとき、じっくりと考えるように、けれどもすこしの間をもって──── 「おっぱい」と。そいつは口にした。オイオイオイオイオイ、趣旨をまるで理解できていないじゃあないかッ！それまではガキみてえな遊びしやがってと傍観していたのに、思わず違う違うそうじゃあないちょっと待ていとぼくの心の中の鈴木雅之とノブが総ツッコミしだした。モロだからなそれは。いや、ただの乳房そのものがセクシーに感じるかどうかは議論の余地があるが、だとしてもなァ、この場においてその単語を持ってくるのはダメだろ。ちなみにその後の「う」には「ウコン」と答えていた。な〜にがセクシーだッ！おまえもう船を降りろ。