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折針入れ
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945 :
金木研(東京喰種)
2017/01/14(土) 19:37
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でもね、だって。すごく怖いんだ。
好かれる理由や欲しがられる理由が自分で納得できていたら、本当に誰からも見向きもされなかったときはそれが武器になるしその武器を思う存分に信じて、その時初めて自分を売り出して自分を研ぎ上げた上で僕はこうなんだって力一杯格好良く死ねる。
得体の知れない好意だとか自己肯定感の無い儘子守唄のように与えられた賞賛は恐怖でしかない。
僕が眠ったあと何をするの、かあさん。僕が眠ったあとできっと安心してお母さんはお母さんの世界を愛で始める。物心ついた頃にはお母さんはお母さんだったしお父さんとの間でどちらかにも寄り添って追い掛けられた、母集団からする確率論への愛される可能性は僕には与えられていなかったから僕は母さんには絶対にどうしても守ってもらわなければならなかったし愛されていなければ自分の存在なんてわからなくなった。
ひとりで頑張る何もかもを包容した、顎をこする癖と思い出すあの笑顔には。頑張るためには僕はいらないってことをつぶさに語る。僕は守られるだけの存在でそういう母さんの固定概念の中でお利口さんにおとなしくイレギュラーではない当たり前の顔をした守られる存在であることを望まれる。こんな小さな手で背中で何ができただろうと考えたら、それでも驕りかも知れないけれど僕は器用だったから何でも手伝えたし手数が増えれば少しは仮眠の時間も与えられた。そうさせたくなかったのは、そういうことができるのだと認めたくなかったのは他でもない母さんで。母さんは絶対で、その感情を満たせるのは僕しかいなくて僕の唯一の仕事で。
安心して僕が眠ったその後は母さんがやっと息を吐けるのも知っていたから僕は眠らなければならなかったし母さんが母さんの自分自身を保って見つめるためには僕はその瞬間は邪魔なのだとも分かってた。
僕が、存在を閉ざして言葉も瞬きも視線の位置さえもなくした姿を見せることが母さんの安堵。
僕の挙動や僕への気遣いを切り離して、「想像の範疇で分かりやすく思考を割くことのない当たり前、ありふれた見慣れた耳慣れた姿を見せることが」相手への安堵。
僕の眠りが相手の安堵。
僕の包容が全てへの安穏。
理解としての解釈を与えることが、相手の思い通りの姿を身を以て描くことが自然で相手の負担にはなりえないこと。
だから、
刃物を持たなくても存在自体が確固なのだと見えるのなら。
何もかもをが刃物と僕の味方に在る姿を、周りにとっての当然なのならば。
僕は刃物を持つことすら許されない。
知っていたんだ。知っているんだ。
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