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折針入れ
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977 :
金木研(東京喰種)
2018/01/17(水) 12:47
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ああ、そうだ。
全部守りたかった、全部が柔らかくあって欲しかった、誰だって傷つきたい訳じゃない、人間はそんな人を傷つけて本当に満足出来るような体質をしていないんだ、何を間違えたの、何が駄目だったんだ、何もかもがだめだったんだ、ごめんなさい、ごめんなさい、僕が弱かったばっかりに、私が強かったばっかりに、傷ついた顔をして見せられれば良かった、傷つけて深々と突き刺さったあと暫く治らなければ良かったんだ、
誰かの心に刻みつきたい気持ちは知っていた、僕はそれを受け止められる質をしていたー…受け止められると自信を持った根拠は?ああ、そうだ、「僕ならたとえそれを受けたとしてもすぐに治るから」。治っちゃいけなかったんだ、相手と同じほど深く傷ついた後に治しちゃいけなかったんだ、心の底から傷ついて治りかけた傷さえも自分で抉って長引かせて同じ傷の色をして同じ速度で治らなければならなかった、「人間」から見た「喰種」の冷徹でどこか諦めた体質であるという偏見に入念に気を配っておかなければならなかった、
だから、
ーでも。
だから、わたしは、僕は
他には、手を出さないでくれ、と。
相手を悪者にしたような、言い方は、出来なかったけれど。
やさしいことが、やわらかく、
でも一番ひどかった。知っていた。
やさしいことがあの子の癒やしになりはしないことは分かっていた。
やさしい事がただの皮肉にしか聞こえないほど歪んでいたのも知っていた。
傷つけている自覚がなかったわけじゃないと思う。自分の心でその加虐心がどういう形で自分の隙間を埋めているかを知らなかったんだろうと思う。埋まっているかすら分からなかったのだと思う。ただただ乾いて無沙汰な爪をどこかに食い込ませて暴れ視界を塗る赤だけが非現実として反射的に脳髄に染みる舌の奥の甘さとして唯一の癒えだったのだとも思う。だけど。
きみ、
僕は、君が悲しんでいるのが悲しかっただけだ。
悲しいことが嬉しくなったらきっと君は本当に悲しくなってしまう。
悲しまないように、墜ちないように、ずっとずっと、餌を運んで話を運んで、
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とは言えその偽善者染みた感情論で語り何もかもをなぎ倒すかのような役を買って出たなれば相手から「しょうがないな」「そこまで言うならしっかりしないと、俺がいないと」だの勝手に立ち上がって大盤振る舞いの喜劇を見せてくれた可能性もあっただろう。
どうしてそうしなかった?
ピエロになりきる程度の馬鹿が出来ない臆病者は紛れもなく僕自身だろうに。
踊り踊らせ踊り狂って薇が切れるその瞬間までさえ満たされていれば、ばねが弾けて散り散りに、その後の責任も、尻拭いも、現実を見る非動さも、真実と当人の視覚の乖離からも全てから解き放たれるまでをも見届けるのが完璧で無欠な優しさだ。
自らに尻拭いをさせようという思いが本当になかったか。
現実を見せることが一番の致命傷だと知りながら拷問を仕掛ける愉悦混じりに事実をちらつかせたことはなかったか。
一般論からさえ乖離した零した理論を否定して本当に現実に引き戻そうと尽力したか。
悲しむのを見るのが悲しいだのと、よくもまあそんな今更相手の情動に揺さぶりを掛けるような卑怯な真似が出来たものだと反吐が出る。
安全圏からの安定の元伸ばす救いの手はただの中傷だと肝に銘じる事。
何も出来ない、何もしない、ただの無力が偉そうに。
喰種にも人間にもなれない何も救えない半端な感情。
此処に捨てる。
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