スレ一覧
┗かむろひの(23-32/61)
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書
32 :
山/姥/切/国/広(刀/剣/乱/舞)
2015/10/08(木) 08:46
本/丸から街に降りる途中には、一軒の民家がある。誰が住んでいるのかは分からない。…本/丸に近い場所に人が住むとは思えないから、多分人であって人でないようなもんなんだろう。少なくとも、俺はそう思っている。
そこには一匹の猫がいた。真っ白で、青い瞳の雌猫だ。そいつは俺が遣いに出る途中で家の前を通り掛かると飛び出して来る、よく分からない猫だった。ついでに変な鳴き方で……にゃー、とは言わず「ふなー」と……うるさい、こっちを見るな。
俺は人間じゃないのに、躊躇いなく腹を見せるそいつの考えが分からない。…いや、分かるはずもないが。俺には動物の言葉を聞く耳はないからな。鶯/丸や三/日/月なら……何となく、分かるんじゃないかとも思える。俺はそいつの腹よりも、薄くて柔らかい耳や喉の方を触っていた。腹の皮膚を通して感じる内臓の温かさが何となく恐ろしかった。
多分、俺が見掛けた当初から年老いた猫だったんだろう。俺が遠征の第三部隊に配属されて暫く、久方振りに民家の前を通り掛かるとそいつはどこか覚束ない足取りで垣根の隙間から転がり出て来た。いつもと変わらない変な声で、弱々しく鳴いた。
……写しの刀が、こんな思いをするなんてな。頑なに触らずにいた腹を撫でてやると、喉を鳴らして喜んだ。
>>
遠征部隊から第一部隊に戻った。主の一任だ。一度は離れたが、あいつらは何事もなく俺を出迎えた。
あれからあの猫は見なくなった。声も、聞かなくなった。壊れてしまった…のではないだろう、あいつは生きていたんだからな。「生あるものはいずれ祖霊のもとへ帰るものだ」と石/切/丸が言っていた。よく分からないが、まあ…俺の目が二度と届かない場所へ行ってしまったんだろう。
主に遣いを頼まれて、久々に民家の前を通りかかった。俺の眼の前に真っ白な塊が飛び出して来る。
足を止めて見ると、それはあれよりふた回りも小さい白猫だった。青い目をしていた。俺の方をじっと見ている。
……あまり、見るな。写しの俺を見ても、何もないぞ。
ああ、だが……こいつはよく似ている。
「……お前も、写しなのか?」
そいつは俺に応えるように、変な声で下手くそに鳴いた。
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31 :
前/田/藤/四/郎(刀/剣/乱/舞)
2015/10/07(水) 08:47
>短/刀Mの証言
先日、体の調子を崩して寝込んでしまったんです。ええ…内番で組んでいた愛/染には悪い事をしました。丁度非番だった獅/子/王様が代わって下さったので穴は空かずに済みましたが…今度何かお礼に……ああ、すみません。お話が逸れてしまいました。
それで、僕はその日部屋に戻って、布団で休んでいたんです。何も不摂生をした覚えもなく、不養生だった訳でもないと思うのですが……熱も大分上がってしまっておりまして。はい、前日まで何の予兆もありませんでした。近くに平/野もいち兄も他の兄弟もいなかったので、喉の渇きを潤す為に起きて本/丸の厨へ行きました。
厨でいつも使っている湯呑みを探している時、声を掛けられたんです。何をしているのかと後ろから尋ねられて、振り返ると石/切/丸様がいらっしゃいました。体調が優れないせいか、心なしかお体がいつもより大きく見え……いえ。幻覚や気のせいだとは思っています。
あ、はい。続きですが…石/切/丸様に睨まれてしまった、と言いますか……のちのち、勘違いだと分かったのですが、僕が何かしてしまったかと思って恐る恐る尋ねると、「君に取り憑いている病魔が見える」と。…はい、確かにそう仰られました。
そのまま本丸の畳の上に座らされて、石/切/丸様は何かを呟きながら僕の背を撫で、最後に軽く叩かれると同時に体が楽になるのを感じました。
比喩ではなく、確かに憑き物が落ちたような……そんな気がしたのです。
石/切/丸様は癒しの力を持つ御神刀様であるとうかがっていましたので、……ええっ、そんな、恐れ多いです。
…はい。…はい、そうですね。お陰様ですぐに任務に復帰することが出来ましたから、お礼する為に、僕の知っているお団子屋に行こうかと。折角ですから皆様にも食べて頂きたいので、禄も出た事ですし…皆様の分も。……「気にするほどの事ではない」と仰られましたが、日常的な事なのでしょうか。
>>
ところで、青/江様がどこへ行かれたか御存知でしょうか。…ああ、いえ。御/手/杵様が探されていたようですから。
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30 :
石/切/丸(刀/剣/乱/舞)
2015/10/06(火) 22:40
「お恥ずかしながら買い過ぎてしまったので……石/切/丸様も、良かったらお召し上がりください」
そんな言葉と共に小さな手が差し出したのは、団子の乗った皿だった。
彼の親切を断る理由もなかったので「ありがとう」と礼を言って受け取り、頭を下げて去っていく前/田の後ろ姿を見送る。続いて「鶯/丸様」とも聞こえたから、皆に配って回っているのだろう。
あの短/刀は末席と謙遜しながら、よく気の回る子だ。うっかり買い過ぎた訳ではなく、皆の為に買ったものを気を遣わせないよう…と心を配った結果だろう。一/期/一/振もよい弟を持ったものだねえ。
折角だから、書の頁を繰る合間に頂くことにした。ものを食べる、という事は好きだよ。供物を頂いていた時とは違って、幸福感で満たされるような気がするからね。…そう考えると、やはり人の身を得て学んだ事は多いのかも知れないな。人々の願いから得た事は少なくないとはいえ、私自身が考え、感じて、学んだ事ではない。
程よく満たされた所で外を見ると、昼下がりの頃だった。秋が深まってきたとはいえ、日差しは暖かくて、外で楽しげに遊ぶ短/刀達の声が遠く聞こえてーー…
>>
ふと目を覚ますと、日暮れの頃だった。薄暗い室内に微かに西日が差し込んでいる。……どうやら、眠ってしまったようだね。心地よくて、つい微睡みに足を掬われてしまったらしい。
体を起こすと、いつの間に被っていたのか、薄い掛け布団が畳に落ちた。…返り事のない内に、この部屋を訪ねてくる子にあまり心あたりはないのだけれど。
読み掛けていた書物を片付けようと文机へ向かった所で、思わず動きが止まった。
開かれた書の上に、誰がうつしたのか……眠りこけている私の姿を写した、一枚の写し絵が置かれていた。
……一体、誰が。
そう思ったけれど、絵を写す絡繰を持っているのは主に近しい限られた刀だ。次に顔を合わせたら尋ねてみるとしよう。…ああ、それにしても……、…やれやれ。
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29 :
江/雪/左/文/字(刀/剣/乱/舞)
2015/10/05(月) 08:19
この頃は朝夕は涼しく、夜となると肌寒いほど。……ああ、秋ですね…。
昨夜は珍しく、夜半に外へ向かう石/切/丸殿をお見掛けしました。……夜目が利かないのでは、と思いましたが…あの方なら知らぬうちに戻られるでしょう、と思い…要件は伺わず。
……三/日/月殿ならば、迷わずお引き留めしていましたよ。
本/丸でお茶を淹れていましたら、丁度夜戦に出ていた刀達が帰還しました。……いくさ場の匂いと、気配を引き連れて…しかし、皆大きな怪我を負った様子はなかったので、少しだけ、胸を撫で下ろす心地ではありましたが…。
……出陣前に見た顔よりも、一振数が少ないように見えたのは、気のせいではないでしょう。
>>
考えてみれば、何とも淡い繋がりなのだと…改めて、思います。どちらかが書を手放してしまえば、続く事はなく…此度は、私が再び筆を執る事で、そして応えてくださった事で……再び相見える事となりましたが。
次はまた、きっと…近い内に。川辺の茶屋へと、御神刀殿が。
>>
……(軽く咳払い)
ああ……今夜も、冷えますね。小/夜と宗/三に、暖かくして眠るよう言いつけておかなければ…。
……過ぎたる言葉は、足りないものと同じ。…節度が一番、でしたか。
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28 :
愛/染/国/俊(刀/剣/乱/舞)
2015/10/04(日) 13:01
オレらの部隊に欠員が出たらしい。
らしい、っつうのは、オレは部隊長でも副隊長でもねぇ訳で……これ自体他の刀から聞いたばっかりなんで、詳しい事は何も分からねえ。
つっても、折れたり大怪我したりした訳じゃねぇとは聞いたんだけど。今まで一緒に戦場に出てた奴が急にいなくなるとさぁー……ちょっと、寂しいだろうが。なぁ。祭どころじゃねーよ。
そもそも、オレらの本/丸の刀は鍛刀されるより、どっかの部隊がどっかの時代から連れて来る事の方が多い。いや、オレは鍛えられたんだけど。
あそこの平/野や厚だってそうだぜ。
そんなら、オレが見付けたら連れ帰っちまっていいのかなぁ。怒られねぇかな。外をうろついてるあいつらはどっから来て、どうなっちまうんだろう。オレには分かんねーや。
>>
因みに欠員の奴は、遠征部隊に移動希望出したんだってさ!オレ、あいつの事割と嫌いじゃなかったのによ……ちぇー。
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27 :
一/期/一/振(刀/剣/乱/舞)
2015/10/03(土) 21:35
私には、尊敬する御仁がおりまして。……いえ、想い人だなどとんでもない。至らぬ身ゆえ、せめて敬い尊ぶこと位は出来ればと……まあ、所謂片思いという奴ですな。はは、これでは勘違いされてしまいますか。しかしながら、そんな関係はお互い望んでおらんのです。この先もずっとそうでしょう。
彼の方の名をお出しする事はしませんが、それはそれはお美しい方なのです……その髪は絹のごとく、指先の動きは何事をするにも硝子の縁を撫でるがごとく。ええ…誰ぞの言葉を借りるなら、雅、というやつでしょうか。ははは…生憎私にはよく分からんのです、どのように形容すれば良いのか。故に言葉をお借りしたが、果たしてそれが正しいものなのか、それも分からん有様でして。これも記憶が焼け落ちてしまったからでしょうか。
私の抱く親愛は色情を持つ事はありませんが…恋とやらを、したのかも知れませんな。
……彼の太刀筋に、ですが。
目を奪われてしまったのは、後にも先にもあの時ばかり。迷いを孕んだ太刀筋の何と美しい事か、と。いずれ手合わせ願いたいものですが……なかなかに。
お察しかとは思いますが……この内容はふぃくしょんです。現存する刀、本/丸、一/期/一/振には一切関係のないものですので…そのようにご理解頂けるよう、よろしくお願い申し上げる。
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26 :
薬/研/藤/四/郎(刀/剣/乱/舞)
2015/10/03(土) 12:48
起き抜けってのは、どうにも……いや、寝て起きてしばらくは筆を持っちゃいけねえな。支離滅裂だ。
俺っち雅な事は分からん。だから歌/仙の旦那が言うような和歌やら何やら。石/切の旦那が言う神やら何やら。そんなもんは引っ括めて右から左だ。俺っちには日の本の刀らしい情緒や、風流を理解する心は無いのかも知れねえな。
……まあ、他の奴の考えてる事や思ってる事、その辺を理解する心くらいは持ち合わせちゃいると思うがね。
>> 10/5
はっは。どこぞの霊刀でも良かったんだがな。まあ、まあ……良いじゃねえか、俺っちも石/切の旦那も気まぐれなんだ。……んん、石/切の旦那は本/丸から出さねえっつったか。まあ良いか。
それにしてもまあ、偵察とっぷは伊達じゃねぇな、旦那。あと、コメント欄が全く仕事してない事については全然反省してねえ。すまん。
また暇な時にでも付き合ってくれや。何も考えねえとああやって構えちまう性質なんであれだが…まあ、緩くな。
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25 :
歌/仙/兼/定(刀/剣/乱/舞)
2015/10/02(金) 08:03
人の気持ちや思いを、五七五七七で表す。果たしてたった三十一文字で、秘めた思いを伝える事は出来るのか?
雅と風流は愛せど、未だ人の心を解する事が出来ないのは…やはり僕が武器だからかな。
主、少し僕の手を握ってみてくれるかい?……ああ、変な意味ではないよ。
>>
読書を終えて本/丸に帰ると、刀達が集まって何かをやっていた。聞くと、江/雪君が花札を持ってきたんだという。
雅だねえ、僕もまぜて貰えるかい。勝負事は得意ではないけれど。
「……歌/仙は、容赦がないよ」
皆の輪に入って座すると、ぽつりと小/夜が呟くのが聞こえた。
>>
岩/融殿が、札を投げ出して僕に尖った指先を向ける。
「貴様!この遊戯、やり込んでおるなっ!」
おやおや、文系として当然だよ。
風流だねぇ。……ふふ。
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24 :
に/っか/り/青/江(刀/剣/乱/舞)
2015/09/30(水) 07:54
おいで。僕と内緒の話をしよう。
地面に転がる四つの眼は確かに僕を見ていて、勘違いなのか思い込みなのか今となっては定かではないけれど、その眼差しは笑っていたんだ。
斬ってしまったなと、お前は外れてしまったのだと、そう言われたような気がしたよ。うんうん……フフ、夢だと思うかい?そうだろうね。
ああ……そうだね、僕が殺したんだ。石灯籠が転がっていたのを見て尚、僕が殺したんだという感覚はへどろのように胸の中に張り付いて、どうしようもないんだ。何百年経っても変わりやしない。
中庭の石灯籠を見る度に思い出すのはあの女の事で、近寄ってきた幼子はいたいけに笑っていて、一緒に笑った女を僕は斬った。七つに満たない幼子諸共、斬って捨てた。殺したんだよ、人のみならず幽霊までも。
お陰でついた名前は呪詛のように僕を縛っていて、けれどそれが案外心地良いような気もしているんだ。分かるかい?…まあ、分からなくても良いさ。それが普通だからね。……ああ、君には彼女が見えるのかい?彼女はね、僕の大切な存在なんだ。やってしまったからには、僕が責任を取らないとって……フフ。なんてね。
そんなに怖がらなくても、君の事は斬ったりしないよ。幽霊斬りの霊刀なんて言われているけれど、相手くらいは選ぶさ。
……おや、御/手/杵くん。僕を探していたのかい?僕の事を欲していたんだねぇ…労働力としてだろう、知っているよ。
誰と話していたかって?…ああ、君には見えないんだね。ここにほら、いるじゃないか。年の頃は前/田くん位のーー…おやおや、そんなに怖がらなくったって良いのに。分かったよ、すぐに行くから待っていてくれるかい。
騒がしい槍だねえ。……それじゃあ、また今度ね。次はもっと楽しい話をしてあげるよ。
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23 :
石/切/丸(刀/剣/乱/舞)
2015/09/29(火) 22:47
すっかり肌寒い程だね、お疲れ様。
少し用事が長引いて、まだ大丈夫かな……と思ったけれど、何やら外の、話をする部屋の調子が悪いようだね。どうしたものかな。
>>
おや。他刀の空似……と判断するには要素が少ない上、君とは実質初夏に話したきりだからね。見間違えてしまうのも無理はない。何にせよ、君にとって良い体験が出来たなら良かった。
……そうだねえ。神無月の予定を見ておくとしようかな。
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