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+翡翠の玉座+
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赤司征十郎(黒子のバスケ)
2016/03/01(火) 00:04
>Recollection
物語は終わりを迎え、観客も役者も皆それぞれに帰るべき場所へと帰った頃。
語られる後日譚。
若しくは、物語の余白へと書かれた作者の落書き、メモ程度。
唯の自己満足に過ぎない、いつか忘れてしまう日の為の僅かばかりの抵抗。薄積みの埃を、軽く払って。
戻るつもりはなかったが、気が変わった。
埃を被るだけの本なら、そんな落書きを気紛れに書き足しても問題はないだろう。
僕が気紛れに始めたのが発端の本だし、その辺りは好きにさせて貰う。
漸く、此の本を最初から一つ一つ、読み返す事が出来た。
自分の書いたものも残らず読んだが…随分と素直に色々と書いたものだね、改めて読んで恥ずかしさよりもそれどころか感心したよ。…随分と、信頼していたんだな。
#過去の感情にいつまでも縋りついては居られない。人の感情は移ろうし、"愛している"と呟いた唇が次の日別れを告げる事だって有り得る。
#だからこそ、過去の言葉の信憑性はないし、そんな言葉をずっと信じ続ける事は愚かだ。
僕がこの日記を読み返さなかった理由、そしてそれは今も変わらない。
変わらないが、信じ続けなくて良くなった今、改めて読み返してテツヤが残してくれた言葉を素直に受け止める事が出来た。思っていたより痛みもないし、穏やかに…まぁ、少し切なくはあったけれど全てを読み返す事が出来た。
我ながら面倒臭い性格だとは思うが、その手を離した事を、あの時の選択を後悔した事はない。寧ろ、正しかったとさえ、思っているんだ。
後悔とはまた違う……何と言う感情かはわからないが、こんな選択を選んでも自分を優先させる事しか考えられなかった自分に、軌道修正が出来なかった自分に不甲斐なさは感じてもね。
離れて、疑心暗鬼になる必要も無くなって、ただ過去の思い出として、優しい記憶として、再び一人で辿る今がとても幸せだと感じている。
読み返して、どれ程自分が愛されて、どれ程自分が愛していたのかを再確認して、…此の本が流れて消えるのが惜しくなった。それが気紛れに筆を取った理由だ。
何処かのページで"君に相応しいのは僕だけ"だとテツヤが言っていたけれど、今改めてそうだろうなと思っている。彼は僕より順応能力に長けているから逆は有り得ないけれど。
…今の僕がテツヤと付き合う前のツンケンしている僕と話をする機会があったら、それはそれは面白いやり取りが出来そうだと自負している。思いっきり罵倒されるだろうね、自分に吐くとは思えないような汚い言葉を吐かれそうだ。一発くらい殴られる覚悟は必要だろうね。
そして僕は全く悪びれる事も臆する事もなく心の中で腹を抱えて笑いながら不愉快そうに顔を歪ませる過去の僕に経緯と現状と今、僕の中に残る記憶と僕がテツヤに抱いている感情を大いに自慢してやろうかと思っている辺り存外、僕も性格が悪い。いや、今に始まった事じゃないけれど。
まぁ、過去の僕なら絶対信じないだろうな…我ながら、我の言葉さえも信じないだろうな…。寧ろそんな未来変えてやるとか、余計に意固地になっていそうだ。……絶対面白いだろうな…、その後、過去の僕に八つ当たりされているテツヤ含めて。
そんな僕が、改めて書き始める今更ながらの切手の無いラブレターを。今だから書けるラブレターを。
僕の中で、暖かく揺れる記憶を認める。
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