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┗1233.掌底と憧憬(14-18/42)

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18 :ア_ズ_ー_ル・ア_ー_シ_ェ_ン_グ_ロ_ッ_ト(t ̄w ̄s ̄t)
2023/04/30(日) 00:42



あなたが生まれてきてくれた、今日という日に感謝を。
あなたが幾ら己を呪おうと今日はおめでたい日なんです。
支配人権限でモストロ・ラウンジを貸し切りにしたところであなたは来てくれないでしょうから、放課後の部室で2人きりの誕生日パーティーをしましょう。誕生日おめでとうございます、イデアさん。

(2020.12.18)


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17 :ア_ズ_ー_ル・ア_ー_シ_ェ_ン_グ_ロ_ッ_ト(t ̄w ̄s ̄t)
2023/04/30(日) 00:41



コミュニケーション全般が苦手な彼に代わって交渉の場に立つことがある。つい先日もあまり市場には流通していない、彼の欲しがっていたパーツの材料を手に入れた。入手できましたよ、と言うと彼はいつも何を差し置いてもすっ飛んでくる。そして真っ先にお目当てのもの…ではなく僕の手を取り、「凄い!やっぱりアズール氏は天才!」と褒め称えるのだ。
相手の望みを見誤らなければ交渉というのは実に単純だ。僕にとっては朝飯前、赤子の手をひねるより容易いこと。なので何を大袈裟な、とは思うものの、目に見えぬ尻尾をぶんぶんと振りながら抱き締められる心地は悪くない。悪くないし正直癖になる。
いつもありがとう、君しか勝たん、さすアズですわ。普段は淡々とした低音が高らかに弾んでいるのを聞くと自然と僕の気分も高揚する。…そうでしょう、僕は有能で優秀な男ですから。もっともっと気の済むまで称賛して良いんですよ。あなたの望みは恋人特権で何でも叶えてあげましょう、イデアさん。だからいつまでも、そのきらきらした眼差しを向ける相手は僕だけにしてくださいね。

(2020.11.30)


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16 :ア_ズ_ー_ル・ア_ー_シ_ェ_ン_グ_ロ_ッ_ト(t ̄w ̄s ̄t)
2023/04/30(日) 00:40



からあげが食べたい。猛烈な欲求に突き上げられて目が覚めた。なぜ。なぜこんな夜中にからあげ欲が。気のせいだろう?自制と節制の鬼のこの僕がこんな時間にからあげが食べたい筈がない。強く念じて目を瞑り──…フライヤーでからあげを揚げる図が瞼の裏に浮かんだ。アッこれはもう駄目なやつだ。無理だ、からあげが食べたい。ジュワジュワという油の音の幻聴まで聞こえてくる。KARAAGE-GA-TABETAI。もしかしなくても真夜中に食べるからあげは罪深いからゼロキロカロリーなのではないだろうか。きっとそうに違いない。そうだ、24時間年中無休の購買に行こう。
ベッドから身を起こしかけ、ここが恋人の腕の中であることを思い出した。振り返れば暗闇でも仄かに光る青髪と端正な寝顔。陰キャだオタクだと喚くくせに、食べても太らない体質どころかこんなに整った顔面をしやがって。その無駄に高い鼻を毟り取って揚げてやろうか。……、半ば八つ当たりの思い付きは妙案のように思えた。嘆きの島名家の次期当主の鼻の軟骨のからあげ。珍味中の珍味、これを味わえるのは世界で僕しかいない。しかし鼻を失くしたこの人を僕は愛せるのだろうか。僕が惚れ込んだのはこの人の顔面ではなく才能だが、果たして。鼻のない恋人の顔を想像して、──やめた、馬鹿馬鹿しいことを考えるのはもうやめて、寝よう。どうせ次に目が覚めた時にはからあげが食べたい欲はこの腕の中から出たくない欲に変わっているのだろうから。おやすみなさい、イデアさん。

(2020.11.16)


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15 :ア_ズ_ー_ル・ア_ー_シ_ェ_ン_グ_ロ_ッ_ト(t ̄w ̄s ̄t)
2023/04/30(日) 00:39



「結婚しない?」と告げられた言葉は酷くシンプルで、だからこそ僕を混乱させた。いつも通りの放課後、いつも通りの部室。違うのはこの日が恋人関係になって二年の記念日だということと、ボードゲームの代わりにテーブルに広げられた一枚の用紙。これが何なのか分からぬほど馬鹿な僕ではない。本気ですか、正気ですか。尋ねようとして顔を上げ、表情で彼が本気且つ正気であることが分かった。……この人はいつの間に、こんなに良い男になったのだろう。
人と目を合わせることができない人だった。人から傷付けられる前に自分から傷付きに行く人だった。問題が起きた時は『諦める』を選ぶ人だった。…ねえ、問題だらけですよ、あなたと僕。種族の違い、あなたの家とあなたの立場、生きてきた環境の差、進むべき道。僕達が一切を構わずに恋を謳歌できているのは、ここが学園という守られた箱庭だからだ。箱庭を一歩でも出ようものなら、もう何も自分達を守ってくれない。それでもこの人は僕を諦めないというのか。弟の魂の次に、僕の存在にしがみ付いてくれるというのか。
問い掛ける声音は、思ったよりも震えていたらしい。彼はなぜか天を仰いだ後、穏やかな眼差しと共に「勿論今直ぐには無理だけど、きみが卒業したら迎えに行くよ」と言った。その時にやっと確信した。僕達には未来がある。二年の間に恐ろしい程良い男になったこの人は、既にそれを見据えている。
「だからサインして欲しいんだけどだめ…?」と次第にしおしおと弱気になる彼に微笑みかけてペンを執った。将来を誓い合うには神父もいないし左の薬指は空いているし、この婚姻届は今はただのままごとに過ぎないけれど。良いでしょう、未来永劫あなたと共にいましょう。箱庭を出たその先で、沈むのが深海の底でも、潜るのが冥府の門でも。

(2020.10.13)


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14 :ア_ズ_ー_ル・ア_ー_シ_ェ_ン_グ_ロ_ッ_ト(t ̄w ̄s ̄t)
2023/04/30(日) 00:38



僕が回復した途端に彼が体調不良でダウンするとは、何の因果か。弱っちぃ彼は何故か自らが弱っちぃという自覚がないようだが、傍から見れば本当に弱っちぃ。

さて、イデアさん。あなたは目が覚めた後恐らくこの日記を覗くと思いますが、弱っちぃをこれだけ連発すれば否応なくご自分を弱っちぃと認めざるを得ないでしょう。そういう訳ですから、無理して起きて行動しなくて結構。まだ時間に余裕があるのなら、僕を抱き締めて二度寝してください。
あなたは弱っちぃですが、無理して強くなる必要もありません。どうぞ存分に僕を頼ってくださいね。

(2020.10.04)


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