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スレ一覧
┗1233.掌底と憧憬(19-23/42)

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23 :真_人(呪 ̄術 ̄廻 ̄戦)
2023/04/30(日) 00:50



置いていかれたのだと言う。たった一人の級友を学生時代に喪ってから、ずっと誰もいないのだと。
かわいそうな男。そんなんだから俺に付け込まれるんだよ。大体呪霊のせいで友人を亡くしたのにどうしてそれを同じ呪霊である俺に言うんだろう。馬鹿なんじゃないのかな。まあ馬鹿だからこそ自分が一人ぼっちなんだと思い込んでるんだろうけど。そして馬鹿が馬鹿であるほど俺にとっては都合が良いから、その事実は教えてあげない。
ねえ七海。かわいそうなあんたの傍には俺がいてあげるよ。自分が孤独だと信じ切ってるかわいそうな脳味噌ごと肯定してやるから、あんたのかわいそうな魂も俺が貰うね。大丈夫、俺は置いていったりしない。最後はちゃんと、俺のこの手で握り潰してやるからさ。

(2021.05.22)


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22 :ア_ズ_ー_ル・ア_ー_シ_ェ_ン_グ_ロ_ッ_ト(t ̄w ̄s ̄t)
2023/04/30(日) 00:48



灰燼と化した契約書の枚数は1522、流した涙の粒数など数え切れるはずもない。築き上げたプライドもろとも頽れるような感覚に、二度と同じ過ちは繰り返さぬと心に決めたのは数日前のこと。何から手を付けるべきか、やはりまずは守りを固めるべきだろう。金庫を堅牢化することは勿論、この際VIPルームの扉そのものにも何か仕掛けを施した方が良いのでは。「──あのさぁ、」するとここまで黙って聞いていた顔色の悪い男がおずおずと口を挟む。続きを促すと、彼はうろ、と視線を彷徨わせてから言い放つ。「ていうかそもそも、何で契約書データ化しないの?今時紙で書類管理するとか流行んなくない?」……それは人のユニーク魔法を根底から揺るがすのだが。





その部室は西校舎の外れ、図書館よりさらに奥にまるで人を拒むようにひっそりと存在していた。
「ボードゲーム部へようこそ!」部活見学に訪れた己を出迎えた機械の体の持ち主の声は場違いなほどに明るかった。その向こうでのそりと蠢く人影、髪が燃えているこの陰気そうな男が部長なのだろうかと思ったのも束の間、訝しげに細められたその金の瞳を見た瞬間に悟った。──今の自分では、例え1522回試行を重ねようともきっとこの男の思考には届かない。


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21 :ア_ズ_ー_ル・ア_ー_シ_ェ_ン_グ_ロ_ッ_ト(t ̄w ̄s ̄t)
2023/04/30(日) 00:46



これを彼から渡されてからひと月以上は経ったというのに一向に完成させられぬ情けない男とは僕のこと。説明書には完成形は数千通りと書いてあるのに普通に嘘なのでは??と消費者庁に訴えてやろうかと真剣に検討する程度には玉砕している訳だが、まあ結局は僕が下手くそなだけである。
様々な形のピースをケースにぴったりと嵌めるだけ。毎晩少しずつ時間を取って挑戦しているというのに『たったそれだけ』のことがどうしてもできない。それは酷く僕のプライドを傷付けると同時に、忘れかけていた闘争心にも火をつけてくれる。
彼はこのパズルをもう完成させたことがあるという。決して「お魚ちゃんにはこんな人類の叡智の結晶などできないでしょうなあプギャー」ではなく、「こういう時間潰しもたまには良いと思うから、よければ…」という控えめなていで渡されたものだが、彼にできて僕にできないものなどあってはならない。そう、潰すのは時間ではなく僕と彼の思考の距離だ。あの天才と肩を並べて立ちたい。
彼が知ったら「たかだかパズル如きでムキにならなくたって、僕の隣は氏だけなのに」と言うのだろう。けれど僕は一度決めたことは絶対に成し遂げる男なので。そして彼は実は素直ではない寂しがり屋の男なので。きっと無事にパズルを完成させられた時には、本当にやってくれたの、と驚きながらもその顔には抑えきれない喜色が滲んでいることだろう。共有できるものは多ければ多いほど良いのだから。あの不器用な笑顔のために、今夜も僕はパズルを取り出しては引っ繰り返している。

(2021.05.02)


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20 :ア_ズ_ー_ル・ア_ー_シ_ェ_ン_グ_ロ_ッ_ト(t ̄w ̄s ̄t)
2023/04/30(日) 00:45



猫。四つ足のけもの。我が恋人は「たん」付けで呼ぶ、毛むくじゃらの生き物。
僕は猫と違ってたん付けでも呼ばれなければ腹に顔を埋めて吸われるわけでもありませんが、何かあった時に飛び込んで泣き付いてくるのは僕の胸だし、毎晩眠りに落ちる時に腕に抱き込むのは僕の体だし、いつだって欲しがるのは僕の言葉です。……という優越感から、中庭で昼寝中のあの人が可愛がっている野良猫をつついたら思いきり噛み付かれました。このやろう、猫鍋にしてやろうか。

(2021.03.20)


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19 :ア_ズ_ー_ル・ア_ー_シ_ェ_ン_グ_ロ_ッ_ト(t ̄w ̄s ̄t)
2023/04/30(日) 00:43



日中食べたものを報告させ、足りない栄養を補うべく夜食を作って彼に届ける。
深夜机に向かう僕に、「もう眠いでしょ?一緒に寝よう」とさりげなく声を掛けてくれる。
そうやって、協力し合って過ごせる毎日が愛おしいと思う。

あなたが蹲った時には僕がその腕を引きます。だから、僕が立ち止まった時にはあなたの大きな掌で背を押してください。
今年も宜しくお願いしますね、あなたのことが大好きですよ。

(2021.01.04)


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