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┗1233.掌底と憧憬(3-7/42)
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7 :
ア_ズ_ー_ル・ア_ー_シ_ェ_ン_グ_ロ_ッ_ト(t ̄w ̄s ̄t)
2023/04/30(日) 00:27
呪われし一族の集会があるだとか何とかで彼が実家に一時帰宅したのは数日前。特徴的なあの髪の持ち主達が一堂に会するさまはさぞかし荘厳なのだろうと思いながらも、とぼとぼと鏡を潜る彼の背中があまりにも丸まっていたので何も言えずに見送った。
死にそうな顔色で出掛けた彼は、果たして瀕死のていで帰ってきた。親戚の子供が陽キャすぎてきつかった(シュラウド家って全員陰気な訳じゃないんですね)、ずっと大雨で頭が痛かったし船が出航できなくて帰りが遅くなった(嘆きの島にも温暖化の影響があるんでしょうか)、実家の三つ首の犬が換毛期でもふもふで可愛かった(良かったですね)、……。とりとめのない彼の話を聞きながら思うことはただ一つ、無事で良かった、と。普段は忘れがちだが強大な魔力の持ち主であり、様々な意味で“強い”弟を持つ彼がそう簡単にくたばるタマではないことくらい冷静に考えればすぐ分かるものの、何故だか彼には『ぽっくり逝きそう』と思い込ませる何かがある。僕の目の行き届かないところで本当の意味で旅立たれてしまってはたまったものではない。
長躯を抱き締め、少しだけ伸ばされた薄っぺらい背中を撫でて安堵の息を一つ。…お帰りなさい、会いたかったですよ。それからあなたの帰還より一足先に届いた嘆きの島土産の石榴くり〜むどら焼き、美味しかったです。
(2020.07.15)
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6 :
ア_ズ_ー_ル・ア_ー_シ_ェ_ン_グ_ロ_ッ_ト(t ̄w ̄s ̄t)
2023/04/30(日) 00:26
稚魚だった頃の夢を見た。蛸壺の中で、一人泣いていた頃の。暗くて狭い壺の中はとても寒々しく、流した涙は全て海水と共に流れるか、壁に吸い込まれるかのどちらか。その冷たさに落ち着いていたのも事実だけれど。──…目を開けて、飛び込んでくるのはあの頃とは違う、青色。
蛸壺は己の不甲斐なさを呪うところだった。狭くて暗い場所は奮起するためのうろだった。己を慰めてくれるものなど何も無かった。それがどうだ。この人の腕の中も、暗くて狭い。冷えた体温もあたたかくはない。それなのになぜこんなにも満たされるのか。髪を撫でる手がとても優しい。頬を擽る青髪がとても優しい。肌に触れる唇がとても優しい。毎日頑張って偉いね、と降り注ぐ声がとても優しい。この人の存在が、とても優しい。
きっともう、あの蛸壺に戻ったところで自分は泣けないのだろう。あれを壊そうとは思わない。忘れてしまいたい過去はけれど決して忘れることはできないのだから。そう、あれはもう過去のものなのだ。今はこの人が、僕にとっての蛸壺。受け入れて、慰めて、甘やかしてくれる。
ねえ、僕から離れて行っては駄目ですよ。契約書であなたを縛ることはしないけれど、あなたはずっと僕を抱き締めていないといけないんです。離れようとしようものなら、あなたのその燃え盛る豊かな髪を一本残らず引っこ抜いて毛根全てを焼いてやりますからね。
たまにはこんな記念日の恋文も良いでしょう。
1年と9ヶ月、ありがとうございます。あなただけを愛していますよ。
(2020.07.13)
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5 :
ア_ズ_ー_ル・ア_ー_シ_ェ_ン_グ_ロ_ッ_ト(t ̄w ̄s ̄t)
2023/04/30(日) 00:24
「ブルベ冬だからって調子に乗りやがって!」とは先日取引をした1年生の弁。予想だにしなかった捨て台詞に思わずぽかんとしてしまったのは今月最大の不覚。そういえば彼はポムフィオーレ寮でしたか。外見の美を追求するのは結構ですが、奮励の精神を体現したあの寮長が何よりも重視するのは己の内側から溢れ出るもの、つまり自分自身の資質の美しさだということをまだ1年の彼は学んでいないのでしょうね。そもそも冬だとなぜ調子に乗れるのでしょうか。誕生の春、成長の夏、円熟の秋、衰退の冬。まさか季節が進むごとに肌マウントを取れるとでも?それならば冬を通り越して最早死体の如くの顔色をした彼こそがヒエラルキーの頂点でしょうに。ブルベとイエベの違いは不勉強な僕には分かりかねますが、彼はきっとブルベ死人。
(2020.07.07)
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4 :
宮_治(H ̄Q)
2023/04/30(日) 00:22
☆
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3 :
宮_治(H ̄Q)
2023/04/30(日) 00:21
愛とは何かと問われれば、飯とこの男に他ならない。
生まれる前から共にいる。
くたばる時まで競う約束をしてしまったので、もう添い遂げるしかない。
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