格好良さってのは、つまり何なんだろうな？聞く限り日常のっつーか、オツキアイする間柄でのオス側としてどうのこうのなんだろうが…俺には此処だ此処に埋まってるぞと、足下がビカビカ光ってるのを丸無視して見当違いに頭の上を掘ってる様にしか見えねぇと言うか。アイツの良さはそんな所には無ぇし、砕けた石でテメェの頭を打つだけだろうにご苦労なこった。まぁブチギレてバケモノなのが隠しきれなくなってるのも嫌いじゃねぇんでな。意識しちまってる時点でみみっちいんだよ諦めろとトドメを刺したい気もするとは言え、付き合う前ならいざ知らず、今やると拗ねるわ拗ねるわで洒落にならなさそうだ。
次また気になったら訊いてこい。……優しく可愛くだぞ。それで、俺の好物でも添えて。いつも通りに上手く機嫌取ってくれるってんなら、お前の何処が俺にとってそうか…少し位は話してやってもいい。

お前の言いなりになってると、気持ちが良過ぎて涙が出る。人で居る為に被った皮が1枚ずつ馬鹿丁寧に剥がされていくのを止める訳でもなく…早く暴け暴ききれとさえ願って、願ってる癖無理強いされた生娘ぶって噛み付いて。何もかもは俺が望んだ事だろうと、
あくまで穏やかに思い知らされるまま“ソレ”を認めた時、目の開いてねえ仔猫でも撫でてるつもりか？と言いたくなる手つきでこの身体を抱いて頭に触れるお前が好きだ。相変わらず、矛盾が酷ぇ。

耳から直接流し込まれる低くて粘っこい、吐息混じりに潜めた音が嫌いだ。外も内も関係無しに我が物顔で身体中を這い回って、
漸く出て行く気になったかと思えば降りきった足元で蔦に転じて絡み付く。そういう錯覚を起こさせるだけじゃねぇ。綺麗に言うなら存外臆病な、まぁ中には何百年単位で巣穴に隠るのも居るらしいからな。特性なのかも知れねえが……に因る配慮って所か。
言外に肯くか突き放されるかの２択を迫っておきながら、あくまで俺の意思からくる態での懇願を要求しやがるから始末が悪い。女を唆したあの蛇が人型になったらきっとこんな声で口を利くんだろう。交尾じみたキスを交わして舌の先を探っちゃ、分かれてねえのを不思議に思う。吸い上げて、噛み切って。物を言えなくしてやればお前は、………飽きた。

さて。俺が喜ぶのを良い事に無茶苦茶言いやがるし、テメェが甘えたい時にすら甘やかすのを許可してくださるっつー姿勢のクソ偉そうさも健在なウチの性悪ト／カ／ゲだが、好い所もそれなりに有ってな。出鱈目に顔を捏ね回そうと齧ろうと大人しく頭抱かれて寝こけるのを見てると、それを直接吐き散らしてやるのだって吝かじゃねぇと思うのに……この俺がだぞ？気が付けばあいつのペースで、お喋りしてやれる余裕が無え。とは言え尽くさせるしか能がねえと思われんのも癪だ。一先ずは此処に残していくから、お前こそ俺の何なのかはっきりしっかり自覚しやがれ、このほっぺたもちもち野郎。

一言で言えば猫可愛がりが過ぎる。
この歳になって尚、1日平均3.7回も良い子扱いされる気持ちが分かるか？兄貴ですら此処までじゃねぇし、お前のその可愛いは愛玩動物やらマスコットやらへのと同じヤツだろ、俺はオモチャじゃねぇんだよ万回4ねッ♡♡！もげろ♡♡！と思う時も無くはねえ。無くはねえが…曰く「愛情を与えて」「時間を割いて」されてると喉笛掻き切ってやろうって気がヘナヘナ萎えてくるというか、最早悟りっぽいモンが開けてきて、これはそういうプレイであってコイツはそれでしか機能しねえカワイソウな野郎なんだと自分を納得させて早…どれだけだ？まぁいい。幾らか経った今、極稀に出て来ねぇ日に遭遇すると熱でも出したか腹でも痛ぇかとまずは考えちまう俺が居る。それでなくても日々人として大事なモンがポロポロ溢れていってるってのに、手の内に留まり続けて今日も今日とて帰りを待つ。あれが答えなら返事はこれで充分だろ。