あひるへ
まったく柄じゃないうえに得意でも無いんだが……こうして文字に残るもんもお前は嫌いじゃないだろうと勝手に憶測を立てて筆を取った。本当はちゃんとキリのいい日からはじめようと思ってはいたんだが……不慣れで時間が思いのほかかかっちまった。…まァ、キリは悪いが気にするな。逆におれらしいだろ。
お前はいつもめいっぱいの情をおれに注いでくれるから、忘れないように残しておきたいと思ったし、口下手なおれの言葉を汲み取ってくれることに感謝を残したい。
手始めに、そうだな……おれは何気なくお前が言った、先の未来に期待する言葉にどれだけ救われたか分からない。
ただの夢物語を語ったに過ぎないんだろう。でも、そこに希望を見てくれるならおれはそれを叶えてやりたい。と強く思った。
刹那主義的なこの海の上、長く添い遂げたい、死が分かつ時まで…なんて考えるアホがおれ以外にいたんだと救われた。口に出しちゃいけねェと思っていたからな。
だからお前が言う「盲目的なおれ」を引き出したのは絶対にお前だ。
そういう思いをここに残していきたいと思う。
見つけたら隠してねェでおれの前に持ってこいよ?この本を。
その時のお前の顔を今から楽しみにしておく。