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┗1406.Chick flick(19-23/32)

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23 :トラファルガー・ロー
2023/11/27(月) 03:44

うー



どうにも筆をとる習慣が身につかなくて困る。
来月は何か題みたいなものを決めて日々の事をつけてみようかと思う。……根気が続けば、の話だが。

穏やかに日々が続く中、お互いの歯車が噛み合わずに悪い方にばかり進む日があった。
なにか大切なものを持つにはおれは酷く臆病で、あいつはなにかを欲しがることに二の足を踏む。お互いそれをわかっているから、毎日好意を伝えることを惜しまない。伝わっていないわけじゃないのに。幸せの弊害だろうか、……それとも今までのおれ達の経験のせいだろうか。若くはないし、ウブではない。
愛おしい人間に必要とされたい、というエゴだ。

狭い潜水艦の一室からデートに行きたい、それだけの話だったはず。
他人から見れば犬も食わない痴話喧嘩だ。
それでも今思うのは、あんな顔二度とさせたくないという感情。


つづき

「お前のことが好きすぎて、毎日貪欲になって、満たされない」たぶんあいつが言いたかったのは単に惚気で。
ただ「満たされない」なんて一言がどうしても引っかかって死ぬほど落ち込んだ。おれのネガティブの賜物だな。クルーには絶対見せられねェ姿だ。
落ち込んだ、ってのはそんなことを言うあいつにではなく、「満たしてやれなかったおれ」に対する自己嫌悪だ。
でもあいつにそんな意図はそもそも全くなくて、おれが勝手に蹴躓いただけなんだが……。
愛おしいって気持ちが両手から零れ落ちて、流れ出るそれすら相手に届くまでに乾いちまう感覚が抜けない。
おれには愛情を真っ当に届けることが出来ないようで、同じ轍を何度踏めば気が済むのか。シャチはおれに「経験しないとアンタは理解しない」と言うが、経験したところでなんの身にもなっていないんだろう。

不幸せをあいつに与えることだけはしたくない。
懺悔なんだろうか。それはわからないけれど、……そうだな。もう二度と「おれじゃなくてもいい」なんて思わないようにすることだけが、せめてもの償いかもしれない。



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22 :トラファルガー・ロー
2023/11/06(月) 03:07

ばたー




透過


期待に応えることが酷く苦手だ。

あいつではなくておれの話。
これも一種、自分の優先順位を下げていることが原因なんだと思う。そもそもおれに"期待"している人間なんてものがいるわけがないという潜在意識があるんだろう。おれなんかに期待しているやつがいるわけがないんだから、応える期待などはそもそも存在しない。
期待は目に見えないから、おれなんかが応える隙がないんだ。
取引なら出来るのに。言葉のない期待に応えられない。
ないものに応えることほど恐ろしいものはないから。
……ただ実際、おれは思った以上に愛されていて、おれになにかを"期待"してくれるやつもいるらしい。いや、"らしい"んじゃない、いるんだ。
おれが愛することも迷惑でもないし、その愛を期待してるやつ。

どうしてだろうな。
おれなんか、かもしれない。ずっと根底にあった考え方を否定せずに汲み取って解いて、隠したそれに気づいてくれるやつがいる。
あいつも、クルーも…面と向かってダメなやつだって笑ってくれる。
それがこんなにも心地いいものだって知らなかった。

ベビー5におれたちはネガティブで自己愛が低いらしいぞ。と教えてやったらあいつは「ポジティブになんかなれないからしょうがないでしょ」と言いのけていた。
やはりおれは人の巡り合わせには恵まれている方なのだろう。



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21 :トラファルガー・ロー
2023/11/04(土) 10:52

もくせい



はじまりは航路が重なった麦わら屋の船におれが乗り込んだ時。目的が終わればすぐに退散する算段だった。ただ世話焼きのあいつが用意するメシだったり、眠らないおれに付き合って話をする時間だったり、そういう何気ない時間があまりにも心地が良くて目的が終わってからもあいつらの船に居座ってしまったんだ。
ガァガァと文句を言うクセに必要以上に世話を焼いてくる姿が面白くて。
なにかを囲う柄でもなかったが、手放すには惜しかった。おれだけに懐くアヒルなら飼ってやっても言いとおれが言うとなにか考え込むような表情を浮かべていたのも懐かしい。
お互いに気持ちは分かっていたはずなのに明確な言葉を避けて時間が少し経った頃、存外さっぱりした性格のあいつは我慢の限界だったのだろう。
宝箱を用意すると誤魔化したおれに男気でも見せてみろとタンカを切ってきたのは見物だったな。

それから、3か月が経った。
早いような長いような。おれには全てが新鮮な時間だった。
好きと愛してるを重ねる日々をどうかこれからも。



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20 :トラファルガー・ロー
2023/10/22(日) 02:50

ほしみ



毎日あいつのことをちゃんと記録に残したいのに、海図を解いたり、島での索敵に時間が取られてそれが叶わないのがもどかしい。新しい医学書も買っては詰んでの繰り返しだ。
本の山の理由を問われても多忙以外に答えられないのも痛い。
足の踏み場くらいしかない部屋にそろそろあいつがキレそうだという記録。


強めの透過

オリオン座流星群。
今日あいつは麦わら屋の世話があるとかでサニー号に遅くまて戻っていて、あいつが戻ってくる間ベポと話をしているとかなり星が明るく見える海域にはいっているだとか。それも期間で言えば流星群、…加えて今日が極大だと。
しかしあまりの寒さに星を見るには少し億劫で。
それでもおれの元に戻ってきたあいつが一緒に見たそうにするものだからおれも素直に甲板に出ることにした。
結果は、見てよかった。
あいつと同じ空を見上げる喜び、共に流れる星を見つけられた喜び。ほかに替えようのない幸せだ。
流星群のことを教えたのもおれだし、心のどこかであわよくばと考えていたのも事実だが……それをあいつも楽しんでくれたとなると………幸せすぎて怖いくらい。




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19 :トラファルガー・ロー
2023/10/15(日) 02:24

不可解


ローを真綿で絞めるのがおれの役目。包むんじゃなくて。ぎゅっと絞めてやるんだ

ご機嫌にそんなことを言うもんだからついつい丸い頭を撫でてしまう。

わりと真面目な話の最中に蹴躓いて痛がるおれを指さしてけらけら笑ってる姿を見ると、羞恥心のなかに嬉しさも多少あったりして。情けない姿を見せても幻滅しねェのは素直に有難い。
あいつのいう真綿、ってのはそういうおれに向けられる優しさや慈愛のようなものだろう。
確かに。
絡め取られてそれがなくなっては呼吸の仕方もわからなくなる。言い得て、"絞めている"んだろう。


透過

世話焼きなあいつは花を干すのも好きらしい。
生花を貰っても邪魔だと言う男も多いだろうと言うと、あいつは心底分からないと言った顔で「栞だって作れるし、干せば長く持つのに」と言った。本当にそういう着眼点が好きだと思うし、おれの詰んだままの本に花を挟んで栞を作ってる姿を想像するのも悪くない。
いつだったかあいつに好きな花を尋ねられたことがある。
花弁の多い大振りの花。名前はなぜか忘れられなくてそれをあいつに答えた。「おれも好き、その花」余計に愛着が湧いたのは言うまでもない。
あいつは問い返したおれにいくつか花の名前を出した。
女に教えてもらった花の名前は忘れることがないだなんてよく言うが、あいつが好きだと言った花をおれは忘れないだろう。おれの部屋の詰まれた本の中から花弁の多い花も干して残せると見つけたあいつが見せた表情と一緒に。






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