Dec. 06

　思い返せば、ティナリと過ごしたこの一年は色んなことがあった。
俺からお前に気持ちを伝えた1月のあの日や、それから暫くして話し合ったこと。それぞれの身の回りの環境の問題で会えない日々や本調子が出ない期間もあったが、この前のことも含めて、俺は昔から変わらずティナリが好きだ。ちょっとやそっとのトラブルごときでお前から離れようとも思わないし、ティナリのことを考えれば目の前の困難にも怯まず立ち向かえる。俺もお前も事実上は初恋ではないにしても、今俺は初めて本当の意味で人を好きになれたんじゃないかと思うくらいには、好きで止まない。時々だが、あまりにティナリのことを想いすぎて、自分でも困ることがある。
　まだ早いから「来年もよろしく」とは言わないが、来年の今頃もお前とこうして一年の終わりを感じられたらいいと思う。未来のことはわからないとしても、未来に期待するのは悪いことじゃない。そうだろう？

　……俺も眠くなってきた。そろそろ寝るべきだな。おやすみ、ティナリ。良い夢を。
Cyno

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23 :セノ
2023/11/28(火) 00:52

Nov. 28

　出会った頃のティナリは受け身なことが多く、俺が掛けた言葉を何かと理由をつけて躱すことも珍しくなかった。最初からそういうタイプの奴だとは勘付いていたが、時にはその素っ気なさに少し落ち込んだり、逆にその態度に可愛らしいと感じることもあった。今ではあいつの一言一句が可愛いと思えるが、あの頃の俺もまだティナリの頑固さには慣れてなかったんだろう。それが今となっては、あの素っ気なさこそがティナリの愛嬌だと思えるようになった。俺はティナリは出会った当初とはまるで違う性格になったと思ってるが、俺自身もその例外ではないのかもしれない。

　出会った当初から変わったことで言えば、あいつの場合は「積極性」だろう。相変わらず触れ合いを自然と誘ってくることは無いが、それでも自分から愛情表現を言い出したり、二人で出掛ける計画を立ててくれたりすることは明らかに多くなった。行先がフォンテーヌであろうが、ドラゴンスパインであろうが、あいつは嫌な顔ひとつせず旅のプランを考えたり、どうやって道なりを進んでいくかを考えてくれる。……、これは自惚れだったらかなり恥ずかしいことだが、今まで俺がティナリに向けてきた愛情が、そのままあいつの考え方や行動に反映されていると思うと愛しさが増す。……可愛らしいと思う。

　そうだ、ティナリ。お前が嫌じゃなければ、お前が思う出会った当初から変わった自分と俺のなにかについて書いて欲しい。もし俺と似たような内容になるとしても気にしなくていい、ティナリが書いたことという事実が大事だからな。
Cyno

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22 :狛枝凪斗（S＿D＿R＿2）
2023/11/26(日) 01:16

Nov. 26

　人は出会った瞬間からいつかその人と別れることが確定する。その別れ方は人それぞれ、ケースバイケースで、考えうる中で最も幸福な別れ方は寿命による死別だと思う。

　「ずっと一緒にいたい」っていう漠然とした願いは大抵の場合は叶わない。ボクらの胸で動き続ける心臓がある限り、言葉通りの「ずっと」は実現不可能だし、それ以前に人はみんな違う考え方を持ってるから、「ずっと」の終着点を寿命による死別に定めるとしても、そのゴールまで考えを合わせ続けることは余程価値観が合わない限りは難しい。譲歩するなら話は別だけど。
だからボクは時々怖くなる。もしボクが自分の価値観を日向クンに押し付けて、結果日向クンを傷付けたり、怒らせたりすることになったら？そしたらボクらの関係は終わるんじゃないか？日向クンに愛想を尽かされちゃうんじゃないか、って。でも、そういう根も葉も定義もない曖昧な不安を零す度、日向クンは「傷付けられたと思ったことはない」「愛想を尽かしてたら今ここにいない」って否定してくれるんだ。……ボクは、日向クンのそういう間違ったことは間違ってるって教えてくれる優しさが好きだよ。

　もし日向クンと「恋人」を辞める日が来るなら、別れる理由は「恋人である必要がなくなったから」であって欲しい。もちろんそれは片方が相手に軽蔑してそう思った、なんて悲劇的なシチュエーションじゃなくて……恋人としてやりたいことを全部やり尽くして、ならもう友達に戻っても何も変わらないねってお互いに納得できる理由がいい。友達に戻った時に恋愛感情としての好きが残ってたとしても、結局今でも友達感覚は抜けてないんだからきっと問題ないはず。そうでしょ、日向クン。
……、でも、こんなに長く一緒に過ごしてても、キスがしたいだとか抱き締めたいだとか、それ以上のこともしたい、デートも添い寝もって「恋人としてやりたいこと」は尽きてないから、きっと当分は友達じゃ満足できないかな、ボクは。お昼はずっと一緒にいたい、なんてキミに甘えちゃったけど、他でもないキミの考えを聞けた今は「まだまだ一緒にいられる」って考えにシフトチェンジ出来てるよ。これは紛れもなく日向クンのおかげ。「俺は何もしてない」とは言わせないからね。

　…………はあ。これ以上「好き」って気持ちが溢れないように、あれから自分でも制御してたつもりなのに。結局留まることを知らないみたい。自分の感情に自分の考えが支配された時、どうしてこんな感情があるんだろうって不思議に思うことがあるけど……その中でも愛情は特に不可解なものかもしれない。これからもこの気持ちに振り回されるんだろうな……。
Nagito

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21 :セノ
2023/11/24(金) 22:16

Nov. 24

　数日前にティナリが教えてくれたことを未だ消化できずにいる。
あいつは日頃から忙しい生活を送っていて、やっと仕事も落ち着き始める夜になっても、レンジャー長として働いた分の疲れからか眠ってしまうことも多い。あいつはその度に謝りに来たり、俺が前日にきちんと眠れたか確認しに来たりするが……俺はティナリのこの体質について不満に思ったことは無い。休めるタイミングがあるなら好きに休んで欲しいと、そう思ってる。だがあいつは自分の体質に「仕方ない」とは納得できないらしい。なんでも、「もう少し起きていられれば、まだ話せたかもしれない」という後悔が次の日の朝まで続く日が稀にあるんだと。
俺はあの時「決まった就寝時間以外に寝ることが滅多にないからお前のその感覚とは違うかもしれないが」って、休暇を取った日の昼まで寝過ごした時の後悔に当て嵌めてあいつの話を聞いてたんだが……今思えば、ティナリの「もう少し起きていれば」という後悔は共感できる部分があるかもしれない。あいつが眠ってしまいがちなことを自分の悪い所だと自負しているからこそ、俺もティナリはそういうやつだと思っているが、俺だって毎日完璧に決まった時間に就寝する訳じゃない。ティナリと話しているうちに安心して寝落ちることが稀にあるし、互いに休みが被った日は昼寝と称してあいつの膝を借りることも少なくないからな。後者はともかく、前者の場合は俺も「もう少し起きていられれば」と翌朝に後悔していたことを今思い出した。……ただ、ティナリがそんなに些細なことで後悔を覚えたり、顔を出すのが難しくなる前日に自分の感情を伝えたくなったりするほど、俺を好きでいてくれてるって事実への驚きは未だに余韻として残ってるが。
だが、その余韻に浸る度に「昔は黙り込んでばかりだったのに、今は自分の感情を沢山伝えるようになった」と感慨に浸っているから、俺もティナリの事が余程好きなんだと自覚させられるし、……やっぱり、どれだけ長く一緒に過ごしても、お前への気持ち全部を言い表せる言葉は見付からない。つくづくそう思うよ。
Cyno

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20 :セノ
2023/11/22(水) 00:08

Nov. 22

　初めてティナリから「一ヶ月間忙しくなるから、会う機会も少なくなるかもしれない」と告げられた時、「ティナリを待っている間、俺はきっとあいつのことを寂しく思うだろう」と思っていた。だが、誰でも時間的な余裕がない時にわがままを言われるのは嫌だろう。そのわがまま鬱陶しいと思ったり、時間を作れないことに罪悪感を抱いたりするかもしれない。あの時ティナリへの負担を考えて我慢してたってわけじゃないが、あいつへの寂しさや恋しさを募らせすぎないように、いつティナリが帰ってもいいように。俺なりに、七聖召喚やちょっとした薬学……そういったもので時間を潰して過ごしてたよ。
今でこそ、いつもと変わらない日々を過ごしながらお前を待っていても、その中で生まれた寂しさがティナリへの「好き」という感情を上回ることはないが……あの時俺が用意周到に暇潰しの方法を探していたのは、「たとえ寂しいと思っても、あいつのことを考えればその寂しさはどこかに吹き飛ぶ」ってことに気付いてなかったからだ。きっとあいつのことを考えれば考えた分だけ恋しくなって、会いたい、話したい気持ちがどんどん強くなっていく。当時の俺は、そんな風に思ってた。だが、実際はそうじゃなかった。会いたい、寂しいという感情が現れても、あいつが投げてくれた言葉や、その言葉で「好き」って気持ちを改めて実感すると、寂しいなんて感情はいつの間にか消えている。まるで魔法にでもかかったみたいにだ。……きっと、あの頃から俺がティナリに向ける信頼が大きかった証拠だろう。その信頼が今ではもっと大きくなって、最近はあいつが忙しくなるタイミングが勘で分かるようになってきた。一緒に長い時間を過ごすうちに互いの考えることや言動パターンを把握できるようになってきたのと同じように、少しずつあいつの普段の様子を直感で覚え始めて来てるのかもしれないな。

　前回と比べて、今回会えないのはたった数日のことだ。忙しい時期のたった数日は長く感じるかもしれないが、お前の仕事が落ち着いたら今夜みたいにまたゆっくりと過ごして二人の時間を確保しよう。それに、今日だけで伝えきれなかったことは沢山あるんだ。俺が持て余したお前への感情を、これでもかと……いや、その夜のことを忘れられなくなるくらい聞いてもらうからな。
Cyno

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