Nov. 18

　俺とティナリは、出会った当初のことやこれまで一緒に過ごしてきた時間を二人で振り返る時、「お前のおかげだ、ありがとう」という話題になると大抵譲り合いの戦いが始まる。
例えば、旅人から受けた「宝箱やモラが入った箱を探す依頼」をこなした後、二人でスメールに戻って寝る準備をしている時。この場では俺がティナリに着いてきて欲しいと頼んだ体にするとして、俺は「今日はありがとう、お前のおかげで楽しい時間を過ごせた」とティナリに声を掛ける。するとあいつは「本来礼を言うべきは僕だろ。ありがとう、セノ」と返してくる。それ以上の論争が起きるか否かはその時の眠気と気力次第だが、もし「そんなことない」の論争が続く場合は、俺もティナリも感謝の気持ちを譲ることはない。その話はずっと平行線のままだ。……まあ、最近は俺が「お相子」という形で妥協して話が終わることも多いが。
　だが、俺はティナリとそういった論争を巡らせる時間は悪くないと思っている。意見の食い違いやぶつかり合いで巻き起こる論争や喧嘩は、互いに頭が冷えた後に少しずつ擦り合わせて解決すべきだが──この場合、話の落とし所を見つけるのはさほど重要じゃない。大切なのは、何を譲り合わずにいるのか、だ。
感謝の気持ちを譲り合わない、これはつまり、相手を思う気持ちが互いにぶつかり合っているということと言える。「ありがとう」を素直に言えない人間も数多くいる中で、こんな風に「ありがとう」を投げて押し付け合える仲というのはとても貴重だ。俺は、そうやって気を置かずに自分の気持ちを真正面から投げ合える相手が、ティナリという大切な友人かつ、恋人で良かったと思っている。

　少し早いが、日付が変われば俺たちは10ヶ月間も恋人として傍にいることになる。最近「半年なんてあっという間だ」と話したばかりな気がするが……時が流れるのは早いな。
ティナリ。お前が毎日変わらず傍に居てくれることが、俺にとっては何よりも幸せだ。これからも、今までと変わらない穏やかな日々を過ごしていこう。
Cyno

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18 :狛枝凪斗（S＿D＿R＿2）
2023/11/15(水) 23:46

Nov. 15

　普段は一日に二ページも書くようなことは無いんだけど、今日はどうしても書きたくなったから特別にもう一個だけ。

　人が持ちうる愛情には「ドーパミン性愛情」と「オキシトシン性愛情」っていう二種類の愛情があって、端的に説明すればドーパミン性愛情は情熱的で依存性のある愛情。オキシトシン性愛情は慈愛的で安心感のある愛情、らしい。
映画やドラマでよく描かれる恋愛はどちらかといえばドーパミン性愛情が多くて、それを人は「ロマンティックな恋愛」だとか「ドラマチックな恋」だとか、燃えるような激しい恋情が想像できるような言葉で表現するよね。対してオキシトシン性愛情は、熟年夫婦がお互いに抱くような、飼い主がペットに抱くような、友愛や慈愛が含まれた穏やかな愛情を指すみたい。この前このドーパミン性愛情とオキシトシン性愛情の話を本で読んで、ボクと日向クンは間違いなくオキシトシン性愛情の持ち主だって思ったよ。
　ボクらはお互いに恋人同士だって認識すると同時に、友達としての関係を認めてる部分もある。その証拠……とは言わないけど、ボクも日向クンもそんなに肌の触れ合いはしなくても恋人としての満足感は得られてる。そうだよね、日向クン。
……あ、言っておくけど、ボクは別に日向クンとそういうことをしたくないってわけじゃないよ。ボクも日向クンもそう頻繁に求めないだけで、たまにキスするし、それ以上のことだって数回してる。それでもボクらは体で幸せを分かち合うよりも言葉や態度で愛情を示すことが多いから、オキシトシン性愛情に加えてプラトニックな部分も大きいんだろうね。もしかしたら、キミとボクはこういうところでも相性がいいのかもしれない。ボクがそう思ってるだけで、日向クンからしてみればそんなことはない可能性もあるけど……願わくば、日向クンにとってもボクは相性が良い恋人であって欲しいな。

　うん、書きたいことも書けたし、今度こそ今日はこれくらいにしておこうかな。これを書こう、あれを書こうって思いついたことをどんどん消化していっても、そのうちネタが尽きちゃうからね。消化不良の話題は少しずつ書き残していくことにするよ。
　さて、ボクも眠くなってきたしそろそろ寝よう。おやすみ、日向クン。さっきもキミに伝えたけど、明日のデート楽しみにしてるよ。それじゃあ、また。
Nagito

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17 :セノ
2023/11/15(水) 20:27

Nov. 15

　以前、ティナリが「今後その形がどんなものになったとしても、君のことはずっと好きだと思う、君と付き合い続けていきたいと思う」と言ってくれたことがある。あいつはその時、「今日限りで忘れて欲しい」と照れ隠しをしていたが、俺はあの時以来あいつのこの言葉を忘れられずにいる。
　俺もティナリも、命がある以上はいずれ別れる時が来る。出来れば、それは死別であって欲しい。思考や感情、理屈が自分の行動原理を占めているうちはきっと衝突することもあるだろう。その衝突で喧嘩別れをするとか、そういった起こりうるやり切れない別れ方はしたくない、それはきっとあいつも同じだ。だから俺は何よりもティナリを大切にしようと決めているし、実際にティナリを疎ましく思ったことはない。毎日あいつのことが好きで、毎日あいつに会いたいと、頭ではティナリのことを考えてばかりだ。眠る前にティナリのことを考えれば安心して眠れるし、嫌に思うことがあったとしても、夜にあいつと会えると思えば自然とそれを乗り越えられる。最早、俺にとってティナリは日常の一部だと言っても過言じゃない。
ティナリにはもう話したことだが、この先俺達の関係がどうなろうと、ずっとお前のことを好きでいる気がするのは俺も同じだ。その好きが恋愛感情のまま残り続けるのか、それとも友愛に戻って尚お前のことを特別だと感じ続けるのかまでは分からないが、こんなにも大切で愛おしいと思う恋人をそう簡単に忘れられるわけがない、というのは明白だろう。……はあ、やっぱり感情のままに日記を書くのは良くないな。自分が一体何を書こうと思って筆を執ったのかが分からなくなってくる。この話はこれくらいにしておこう。

　それはそうと、ティナリ。ひとつ頼みがあるんだが、お前が今まで研究してきた数多くのキノコの生態を何枚かの紙にまとめておいてくれないか？どのキノコなら安全に食べられるのか知っておきたいんだ。毒キノコの情報も、それはそれで拷問に使えるしな。
Cyno

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16 :フリーナ
2023/11/13(月) 23:22

Nov. 13

　ねえ、ヌヴィレット。どうして人は眠る必要があるんだろうね。
夜は当たり前のように眠気を感じるし、気温が暖かい日や春、冬に布団に籠っていればいつの間にか寝落ちてしまうことだってある。「まだ起きていたい、あの物語の続きが気になるから」って頑張って目を開けて本を読んでいても、瞬きをした瞬間に朝になっていて……それなのに、何か気になることや悩み事がある時は全く眠れない。水龍であるキミには理解できないことかもしれないけど、人は睡眠に体調や精神に大きく左右されるんだよ。例えば、キミが数量限定のケーキをわざわざ僕の家まで届けに来ても、前日に眠れていなければ、パレ・メルモニアでキミの傍で食べたケーキと同じ味のものだとは感じ取れないし、これから人間として生きていく上での不安を、涙と一緒に零してしまうかもしれない。でも、キミがこんな風に僕の家に来て、ちゃんとご飯は食べているかとか、生活に困ってないかとか、まるで親みたいに口うるさく尋ねに来てくれることが僕の日々の楽しみでもあるんだ。
　民を欺き、ずっと秘密を隠し続けてきた水神フォカロルスの住処……パレ・メルモニアに戻る気はもうないけれど、キミとこうしてお茶会をするのは嫌いじゃない。今はキミと僕だけじゃなくて、ジェントルマン・アッシャーやシュヴァルマラン婦人、それにクラバレッタさんもいるし。仕事をするキミの横でケーキを食べる時はすごく静かだったけど、こんなに友達がいるんだから、和気あいあいとして楽しいお茶会になったと思わないかい？そうだ！ヌヴィレット、今度ケーキを持ってくる時は4人分用意できないかな。ほら、旅人とは初めて会った時以来時間が合わなかったせいで、全くと言っていいほど彼が今まで歩んできた旅路の話をじっくりと聞ける機会がなかっただろう？ずっと前から彼がどんな旅をしてきたのか気になっていたし、彼らを僕のお茶会に招きたいって思ってたんだ。僕のプライバシーや安全性の面でも、知っての通り旅人は信頼をおける人物だからなにも問題はない。勿論、これに関して異論はないよね？よし、決まり！じゃあヌヴィレット、ケーキのことは任せたからね。
Furina

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15 :セノ
2023/11/12(日) 03:01

Nov. 12

「人にされて嫌なこと」

　ティナリから提案された話題だが、自分の善し悪しを大々的に書くのは気が引けるからな。予め折り畳んでおく。
さて、「人にされたら嫌なこと」だったな。俺の場合、誰かと個人的な会話をする時、基本的には相手の発言に首を突っ込むような真似はしたくない。……この表現は少し分かりにくいか。言葉を選ばずに言うなら、「そういうことを言うのはやめた方がいいと思う」とか、「どうしてそんなことを言うんだ」とか。相手の発言を否定するような言葉は口にしないよう、常日頃から気を付けている。理由は、人に失礼な態度をしたくないというのもあるが、一番大きいのは「自分のことを否定されたくないから」だ。
　自分がしたことはいつか返ってくるという意味合いを持つことわざはいくつかある。たとえば、人に優しくしていればいつかその優しさが実を結んで自分に返ってくる、という意味合いを持つ「情けは人のためならず」。あるいは、その反対の意味……悪い行いをすればその悪行がいつか自分に返ってくる、とされる「悪事身に返る」。それから、「因果応報」。これは言わずもがなだろう。俺はこういった考え方はこの世の摂理だと思っていて、俺が言う「人にされて嫌なことはしない」というのは、言葉の根幹にこういった考え方があってこそのものだ。つまり、俺は相手のことを否定すれば今度は自分のことを否定されてしまう……だからこそ、俺は相手のことを否定したくない。同時に自分のことも否定されたくない。何より、自分のことを一番理解してるのは自分だ。自分ではない他人に否定されるのは苦痛でしかないだろう。
　それともう一つ。自由を奪われるのも嫌だと思う。想像しやすい例で言えば、束縛や制限。俺が誰にでも置いている心の壁を壊されるのもこれに該当する。……まあ、これはお前に限って心配することはないだろう。束縛や制限は俺もお前も好まないし、心の壁に関しては今までの距離感で接してくれれば何も問題はない。

　それから、これはもう見え透いたことかもしれないし、お前が望む回答ではないだろうが……例え相手が旅人や気の置けない友人であっても、ティナリのことを悪く言われるのは辛い。俺はティナリに不満は感じていないし、ティナリが倫理という道を踏み外さない限りはずっとお前の味方でいるつもりだ。……だからこそ、他人にお前を否定されるのは、他人に自分を否定されるよりもずっと許せない。お前にティナリの何がわかるんだと、そういう気持ちになる。まあこれは後学の為にはならないだろう、別に忘れてくれていい。お前が覚えておく必要はない。

　今思いつくのはざっとこれくらいだ。またなにか思いつけばこういう形で書いておこうとは思うが、こうして自分のことを書き残しておくのは得意じゃないから、あまり期待はしないで欲しい。……これ以上長く書き続けると、書く方も読む方も疲れる。とりあえず、今日のところはこれくらいにしておくよ。そろそろ寝るにもいい時間だ。それじゃあ、おやすみティナリ。ゆっくり休んでくれ。

Cyno

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