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┗1588.Mystery Encount(26-30/71)
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30 :ヴィル・シェーンハイト
2024/03/26(火) 23:50
同業者である彼女の腰を抱いたときに気が付いた。
以前に会った時よりもだいぶ身体を絞ったのだろうか、腰骨がやけに指に当たることが気になって仕方がない。撮影前の最終確認中、スタッフはアタシたち二人にポーズを取らせたまま、ああでもないこうでもないと案を練っていたので声を潜めて聞き出した。アンタ痩せたわね? ええ、分かる?頑張ったのよ。と、彼女が踏み切った理由が判明する。それは恋人の存在だった。……恋人のお好み通りに体型を変えるなんて随分お熱なのね。でも痩せすぎよ、アンタの魅力は自分が一番把握していなければいけないのに。とは、言わなかった。恋愛はスパイス程度に楽しみなさいとも。嬉しげな言葉の抑揚の割に、顔に疲れが出ていたからだ。なんだ、自分でも分かっているんじゃない。この際スキャンダルだと口を挟むつもりなんてなかったけれど、ただアタシは同情しないようにだけ気を付けていた。同業者とは言ってもおせっかいを焼いてあげるほどの優しい世界ではない。自分自身が商品なこの業界は誰にも自分を軽々しく売ってはいけないし、脚を踏み入れた以上それを見極めないといけないのに。……彼女が恋人の為に己を犠牲にするというのであれば、アタシは今までの『普通』を捨てて来たのかもしれない。友人と砂利道を駆ける時間、見学しなければならなかった多くの授業、出会った人を純粋に信じる童心。それでもアタシは後悔してはいない。今の自分を見て、それからぐるりと振り返っても、決して。ヴィル・シェーンハイトとして生きている現状は何も後悔してはいないと言える。……ただ、身を投げ打ってまで焦がれるほどの恋を、そんな経験をする彼女がほんの少しだけ羨ましくもなった。
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29 :オーエン(フォル学)
2024/03/26(火) 00:35
たまたま駅の本屋であいつが表紙を飾っているのを見つけて平積みされた雑誌を三冊買った。なにこれ聞いてないんだけど。言ってませんね、なんて返ってくるに違いないから絶対に聞かなかった。なにこれ、はぁ、どういうこと。僕がぼそぼそとぼやきながらページを捲る手をミスラは止めはしなかったけどちょっと興味なさそうに見ているときの目は、やっぱり少し可愛くてまだほんの少し放置してやった。普段ゴシックなスタイルが多いのは事務所の意向だから、それだけでだいぶ満足していたのに、喉元まで襟を詰められて窮屈そうに、気怠そうにしているところがますます……とくに望んでいないにも関わらず服やら首輪やらで着飾られている飼い犬みたいで、哀れ。ミスラには首輪なんて似合わないのにね。いつだって自分の本能にしか従わないあの男が僕の前で待てをしているのが面白いんじゃないか。……ほんとうに、顔だけは良いな。あいつ。
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28 :ベレト(FE風花雪月)
2024/03/19(火) 22:34
これは先生としてリンハルトに送る、特別な授業です。平和な世の中でのみ通用する、いわゆるご立派な『道徳』。性善説に則ったお題目を律儀に守りながら悲しいことにこのご時世において人間なにも得ることはできない。後悔するころにはもう何もかもが過ぎ去って失われている。この世において、多くの人は大人になるために夢や希望、恋すら過去に捨てていく。……すべてとても残酷なことです。しかしながら『神』は俺に向かって諭された。大切なものを失うことをあたかも神のように俯瞰して心静かにやりすごせと、それを運命と悟り、乗り越えて清く美しくあれとこの俺に宣った。
リンハルト、君は以前俺に『あなたと過ごす世界をすり合わせて、いつか僕がそっちにいきますから』と言ってくれました。君のかけてくれた優しい言葉を、俺はいつ何時も忘れたことはない。ごめんなさい、これだけはやっぱり受け入れることが出来ない。人任せにはできないから、俺はもはや運命は自分で切り開くしかないと思っています。俺は人間だ。意地汚くあがくことこそが俺の見せられる、刹那がゆえのきらめきだと思います。たとえ背教者となり女神に背き万人の期待を裏切っても、俺はやらなければならない。俺は君を守るから。
はい、以上。……ご清聴ありがとうございました。
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27 :ネロ
2024/03/16(土) 19:50
そういや、リケが初めて俺に手料理を振舞ってくれたとき……味見の段階で練習したときの味と違うって気がついたらしいんだ。「本当はもっと、美味しいのに」なんて俯きながら言うもんだから二回おかわりしちまったよ。でも本当に世辞抜きで美味くてさ。ただ、あいつが俺に食べさせたかった味とはやっぱり違うみたいで一週間後くらいにまた食事会をひらいてもらった。どうして一回目は練習の時と味が違ったかというと……練習の時よりも良い肉が市場で売られていて、そっちを使えばもっと美味くなるはずだって思ったんだとさ。初心者らしいというか、かわいいというか。……俺は六百歳、俺は六百歳……俺は六百歳超えてんだから………冷静になれ……。……………う、あいつが駆け寄ってきたときに腹を鳴らしたところを思い出しちまって、か、かわいい……腹いっぱい食わせてやるからな……。
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26 :オーエン
2024/03/15(金) 00:19
まさか用意してると思わなくて、あいつの前で間抜けな顔を晒しちゃったんだ。それを見ても笑わなかったところも驚いたくらい。……ふぅん、って。声を漏らさずにはいられなかったよ。魔法舎の中でバレンタインデーが流行ったと思ったら、次はホワイトデー。ホワイトなんて嫌な名前だって言ってたくせに、どんな対価を求めてくるのかと訝しげにしてたら「はやく食べてください」なんて急かしてくるところなんて、怪しい術式くらいしか考えが浮かばなかったけど……おいしかったな。他の魔法使いたちは、昨日、どんな一日を過ごしたのか気になるかな。ちょっとね。
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