鳥のおじさん、いつも怖そう。僕の目をじっと見てる。なにもしてないのにずっと見てる、けど、すぐ目を閉じて地面に寝てる。寝てるのかなって、思って……顔を見てたらまた僕の顔を見て怖いことを言うから僕はすぐ怖くなるんだ。何かしちゃったのかな、おじさんに。えっと、前におじさんにしてもらった鳥……僕のお腹に、おじさんの膝を当てて浮かせてもらったときの遊び。すごく楽しかったけどおじさんは楽しくなかったの、かも。んと、えっと……どうしよう。騎士様なら分かる？でも、なんかおじさんの前で、騎士様って言うとちょっと嫌そうにする。僕、おじさんに嫌われたくない……こわいけど、一緒にいるの楽しい、から。あ……そういえば、おじさん……おじさんじゃないですよ、って言ってたかも？僕、おじさんって名前しか知らない。ねぇ、シノ。あのおじさんの名前、なに？み、みすら。みすら。うん、分かった！ミスラ、おじさん。

スノウちゃんの寝顔を見ているとどきどきしちゃって……と、言うとだいたいの確率で可愛い顔で「そうじゃろうそうじゃろう」と納得の顔をするか、きゃっ！と照れるか、おぬしも可愛がってやろうかと"攻めムーブ"とやらをしてくるの反則〜！ん？これは賢者が言っておった言葉じゃ。面白いのう。でもオーエンちゃんの反応がいいからってそれをやり過ぎるのは禁止〜！ホワイトちゃん拗ねちゃうからね！それでも止めぬと言うのなら時折意味あり気な視線を送り、理由を尋ねてきたタイミングで微笑みを返してその場を後にするを繰り返した挙句、ほかの魔法使いのところへ駆け寄るから。それとも逆に、その口を縫い付けてしまう方が早いかもね〜！ほほほ！

鍵なんてかかってませんでしたけど、みたいな顔をして部屋に入ってくるから腹が立つ。それって僕の結界魔法が軟弱だってことだろ。いつかあいつが部屋に入って来た時、僕の犬に尻を噛ませてやるんだ。……部屋が汚れるのは癪だな、ミスラの血は嗅ぐだけでぞわぞわするから落ち着かない。殺し合ってる時はなんら気にならないのにね。ほんとうに馬鹿。おまえのことばかりで殺してやりたくなるよ。……ねぇ。街の喫茶店、いつ行くの？当然おまえの奢りね。

馬鹿みたい、まるで愛みたい。
いつもおまえはそう。気まぐれに僕の頬を撫でてぬくもりを奪い去っていく。雪の中に放り出されるのは構わない、だって死ぬ時となんら変わりないんだからそのままでいいんだ。だから視界が暗くなるまで、あんな、ぬくもりのある顔をして僕を見下ろすなよ。夜の冷たさがいつの間にか楽しめなくなる気さえしているのは、きっとすべて、おまえのせい。いつか殺してやる。その目玉の断面をナイフで覗くまでせいぜい好きなだけ笑いなよ、ミスラ。