あつくって、僕もおまえも輪郭をたもてない。太陽をなくす方法がないか馬鹿みたいに真面目に考えていたら頭まで茹で上がって……今すぐプリンかゼリーの海で全身寒いくらいに涼しくなりたくて仕方なかった。オズでもからかいにいったら涼しくなるんじゃないかと思ってミスラのネックレスをぐいぐいと引っ張ったら思いのほかボロボロで千切れた。そのせいでベッドから転げ落ちた僕は趣味の悪い部屋の天井を見上げることになったのに、なぜだか本当に面白くてけたけたと笑っちゃった。両足を交互に動かしていると革靴の踵がミスラの片腕にめり込んでなんだかいい気味。そのうち靴すら奪われて宙づりになったけどおねだりしておだてたらちょうどいい空間魔法を使ってくれたから僕は涼しい部屋で昼寝もできたってわけ。眠たいのに魔力の消費量が激しい類の魔法を使うなんて、おだてられたおまえの負けだよ。ばーか。ミスラの胸板、昼寝をするのにはちょうどいい硬さなんだ。

ミスラはぬるい風呂が好き。ブラッドリーは熱い風呂が好き。その間にいる僕は足元だけ緩くて肩辺りが火照るんだ。だからあいつらとタイミングが重なるのはいや。……双子と入るのはもっといやだけど。

あいつが眠れない時に歌う訳のわからない鼻歌が好き。下手だから。

他のやつに取られたらどうしようなんて思わない、つまらないと言われたら殺してやろうとは思う。

僕たちは行き着く場所が違うけど、勝手に同じにすることはできる。それが他のやつと被ったら、とてもいや。

じりじりと太陽が照りつける季節が横入りしてくる。

あなたこういうの好きですよね、ってタピオカの広告を見せてきた時はほんとうに驚いた。ミスラが食に興味があるのかとしばらく顔を見たまま言葉を失っていたら、返事なんて求めていなかったみたいにスマホを引っ込めて僕の腕を引き千切るんじゃないかってくらい掴んで連れて行かれた先が例のタピオカの店でさ。……僕が飲もうと思ってた新作のアップルシナモンミルクティー。とびきり甘くしてもらってシナモン抜きで頼もうかと思ってたやつ。それにクレープもあるみたいだから全部頼むつもりだったんだ。何を飲みたいのか聞かれて新作メニュー全部って言ったら、じゃあ俺もなんてのたまったものだからミスラにはタロミルクを黙って押し付けておいた。どうせ飲みきれずに冷たくて残すんだから欲張らずにちびちび飲んでろよ。ああ、クレープはシナモンの部分だけミスラに食べさせたのは正解だったな。シナモン抜きにする前にあいつが会計したから頼む暇がなかった。写真、撮ってたけどSNSアカウントに載せるのかな。……あ、騎士様のストーリー更新されてる。