スレ一覧
┗1715.柘榴(6-10/31)
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10 :水木
2024/03/28(木) 00:43
日記を作成するのは初めてだ。…正確には、自分から認めるのが、ではあるが。
若い時分に交換日記とやらをしないかと持ち掛けられた思い出があり、何かを綴るのはその時以来になる。今はもうあの頃のような瑞々しい遣り取りは難しいな、すっかり薹が立ってしまったしこの先ずっと独り身だろう。
此処の冊子をたまに手に取らせて貰っているが、どれも温かくて優しく、切なく、懐かしい気持ちになる。
随分と歳を取ったというのにまだ迷いや葛藤が消えず、とっくに失ったと思っていた執着や依存心が湧き上がり胸中を蝕んでいく。
お前にも息子にも絶対に見せられないな、こんな姿。
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9 :水木
2024/03/26(火) 02:58
何か入り用ではありませんか。
布団しかない伽藍堂の部屋は淋し過ぎやしませんか。寒くはありませんか、必要なものは何ですか。本棚でも、文机でも、三面鏡でも構いません。幽霊は鏡に映るのですか。櫛は要りますか。たまに見せる枝垂れ柳のような長い白髪を梳る事はあるのですか。何でも買ってやると言っているのにお前は聞いてくれない。
お前は俺がいれば構わぬと嘯くが、どのような意味で言ったのですか。雨風を凌げる屋根と、温かい飯と寝床と、子が人の世でも生きるための知識を得たいからでしょうか。
…いや、先日の夕餉はお前が拵えた。子守も洗い物も、俺がいない間に済ませてる。お前には智慧だってある。
じゃあ俺は何ができる。欲を言え、欲張れよ。何故そこで遠慮しやがる。強請れよ。
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8 :水木
2024/03/24(日) 01:39
噛み付きたい。喉に、首に、腕に、太股に。俺が本気で噛んだら少しくらい血が滲むのか。それとも俺の歯が折れちまうのか。後者であればなんとも滑稽だ。俺の歯、既に一本少ねぇのに。
お前も鬱血くらいはするんだがな。蒼白い肌に薄暗い赤が小さく散っていたのが、なんとも、…なんとも。
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7 :水木
2024/03/22(金) 23:07
体裁を整えるのに随分掛かる。いずれ綻びが出そうだな。
表紙に必要な名称はあまり深く考えずに付けた。いや、意味が込められてない事もないが、単純に赤かったから、が最大の理由か。
始めの頁に付けた覚書の張り紙は、たまたま色が気に入ったから。和名で「幽霊の白」と呼ぶらしい。
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6 :水木
2024/03/21(木) 23:35
例えば毎夜、帰宅が遅くなってなかなか顔を合わせられない日が暫く続いたとして。俺は、お前が息子と共に寝入っているであろう部屋の襖をそっと開け、幽かな光を頼りに暗い室内をこそりと覗く。
お前達が薄い寝息を立てて眠り、この家に、宛てがった寝室にまだ居てくれている事を確認して、力が抜けるように胸を撫で下ろしているなど知らなくていい。今まで何度も、何度もそれを繰り返して、恐らくこれからも続けるだろう。
どうか起きずに、そのまま良き夢を見ていてくれ。俺に気付かず眠れ、眠れ。それだけで俺は安堵する。
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