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87 :デ/ュ/ー/ス/・/ス/ペ/ー/ド(t_w_s_t)
2021/06/15(火) 21:32

 何だかやけに気にしているようだったから、ならあいつの言う「いつか」が来る前に僕から書いてしまおうと思った。それこそミドルスクール時代の女の子とかと色々あったんだろうし、そういえばそんな話をいつかに聞いたかもしれない。……が、何にしたって僕にはノーダメだしな……。こういうのは先手必勝だろう?

 もし死ぬほど嫌だって場合は言ってくれ。なんなら破ってくれたって構わない。

馴れ初めの話 ベッドに入ってそろそろ寝ようかとか考え始めた頃、背後……というより隣のベッドの気配がやたら騒がしいことに気がついた。消灯時間を過ぎていたし一回は無視して寝ようとして……あまりに何事だ?って無視しきれなかったから起きてあいつのベッドに向かった。声をかけたらさっきまで静かだったのが嘘みたいにあいつの口が回り出して、しっかりその中で僕のことをバカにしてくるものだから「もうベッド戻っていいか?」と聞いた。「良い訳ないだろ!」ってキレられた。

 あいつのベッドに腰掛けて聞いたのは、僕には縁のない恋の悩みだった。ハロウィーンに出会ったらしい子との、宙ぶらりんになってしまった恋の話。その子に何かあったんじゃないか、実はあれは罰ゲームだったんじゃないか。普段スカしてたりバカにしてきてばかりのあいつがテンパっているのを見て、こいつマジな時はこういう顔をするのかと思った。恋愛自体「?」だった僕にそんな大したアドバイスなんて出来るわけもなく、ただ必死なあいつが何だか眩しく見えたんだ。上手くいけば良いのに、と思っていた。その日僕が結局したことと言えば、話を聞いて頼まれた通りに思い切りブッ叩いて背中を押したぐらいだ。

 上手くいって、そうなったらいつか惚気の一つでも聞いてやろうと思っていたんだが……そうはいかなかったんだろうなと、どこかのタイミングで思った。僕のベッドにあいつがやってきて遅くまで話す夜が増えたのは、出来てしまった空っぽの時間を埋めたいんだろうと思っていた。それから、……寝かしつけだったり、勘違いで僕があいつのベッドで眠りこけたり、背中合わせで同じベッドで寝るようになったり色々……色々を経て。僕があいつを轢いたあの夜に繋がる。


 僕に好きと言った次の日、自分の好意に対して何よりお前が負い目を感じているように見えた。長くない期間で恋愛相談をした相手のことを好きになるって説得力がないとか、それでも言ってしまったことについて堪え性がないだとか。……なんというか、今の僕からしたらややこしいこと考えてるなと思う。
 覚えてるか?お前が、僕のことを突然褒めたときのこと。例えば僕が上手くいくよう願ったお前に実は彼女がもう二十人いるかもしれないだとか、そういう裏を勘繰らないで目の前のものを信じれることがすごいとか、多分そんな話。当時も小難しいこと考えてんなこいつと思ったから聞いた。「でもお前は二十股しないだろ?」「しない。」ならそれが全てじゃないかとあの時に思った。……僕にとってはそれと同じなんだ。

 僕はな。少なくとも、僕は。お前の好意に説得力がないなんてこれっぽっちも思わない。それはお前が自分嫌いの僕に気の迷いなんかじゃないって分からせるぐらい、何回も伝えてくれたからだ。
 お前の愛情はすごくデカい。それから僕にも自分で抱えてるソレにもお前はとことん誠実だ。あのタイミングで、たまたま声をかけたのが僕だっただけなんだよ。直接でも伝えたが、僕はお前との出会い方に負い目なんて全ッッッ然、感じてないからな。
 もし出会い方のせいでそれってどうなんだ?とか言ってくる奴がいたとしたら、「まるでマンガや小説みたいだろ?」って笑っておくさ。頭がお花畑?上等だ!それでもお前ん中で割り切れないって言うなら、一回僕の強さを信じてくれないか。


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