子供は可愛い、と妻子持ちの同僚が言う。それは分かる、鬼太郎は可愛い。その同僚は、養子をそんなに可愛がれるなら実子なら尚のこと可愛いだろう、と続ける。それは分からん。鬼太郎以上に可愛い子など居る訳がなかろうに。
そも、己の血を分けた子を愛せるか俺には分からない。何せ俺が愛したたった二人は人間ではないのだから、人間よりよっぽど純粋でお人好しなあいつら一族しか無理という可能性も無きにしも非ずな訳で。

まあ、グダグダ捏ねた所でまずもって俺の子を仕込む胎がないのだから無意味な仮定なんだが。

度々、自分の嫉妬深さに驚く。普段あいつが俺しか目に入らないと言葉でも行動でも示して憚らないから顔を出さずに済んでいるだけで、少しあいつに他人の影が過ぎっただけで俺のものなのに、と面白くない。俺はこんな奴だったのか。あいつと居ると初めて知ることばかりだ。
そういえば置いて来ちまったが釦やらジッパーやらはどうにか出来たんだろうか。ちゃんと脱いで捨てとけよ。

律儀な奴だな、と寝起きに思わず笑ってしまった。せっかくだから埋めておくか。
おはよう、親友。今日も愛してるよ。

さて、開業とは言っても何をやるか、考えとかないとな。

…不謹慎とは思いつつ、俺の帰宅時間やら匂いやらでむくれているのが、可愛い。悪いな。

そろそろ花見の時期か、と思っていたんだがここ数日の冷え込みはどうしたことか。
個人的には桜に対して些かならぬ複雑な感情が拭えんでもないが、鬼太郎にとっては恐らく母親との想い出の花でもあるだろうから、早く見せてやりたい。
と、同時に、会社での花見という接待行事も見据えなけりゃならんので諸々含めてやはり桜には複雑な感情の方が強い。鬼太郎が喜んでくれりゃ幾らか報われる気がするんだが。

・──屋の仕出し弁当予約について確認
・ノート、鉛筆