あいつが事ある毎に俺のことをチビ扱いしやがるんだが、俺は平均身長だ。お前がデカくて馬鹿力なだけだ。

好い仲の相手に褒めそやされるのを逐一否定するってのは野暮なもんだと分かっちゃいるが、鵜呑みにするにはあいつの言はいくら何でも大仰すぎる。あいつの手にかかれば道行く通行人さえ不埒な不逞の輩になりそうだ。

念願の、でもないが花見。もう殆ど散り際だったが、頭に桜の花びらを積もらせた鬼太郎は当然の如く可愛かった。
あの子を通して見ると世界の大体のことは美しく理想的であるかのように見える、鬼太郎が喜んでくれれば良いと敢行したはずが俺の方がトラウマのような何かを救われた気がした。

もっと盛りの頃にやった会社の花見では場所取りに当たらなくて良かったくらいの感想しかなかったのにな。

下の書置きに対し、寝起きの身に余る程の言葉を得てしもうた。いや、実際のところ余りはせん。お主へ向ける儂の欲は底知れぬ。
兎にも角にも、如何やら儂はこの上無い程に愛されておる様じゃ。お主が胸の内を溢した記念に、此処を埋めるとしよう。