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1407.telescope
 ┗12

12 :Dr./レ/イ/シ/オ (H/S/R)
2024/12/28(土) 01:57

僕が初めて彼の寝室を訪れてから、今日で1ヶ月になる。彼の自宅の前から送った到着のメッセージに『いいね』が付いたきり、その晩のチャットにはユーザーのオフラインを知らせるシステムログだけが残った。あのギャンブラーは自分のプライベートなスペースに躊躇いなく僕を招き入れて、眠る前のその手が案外よくぬくもっていることを教えた。自宅への誘い文句は調子良く囀ったくせをして、接触は精々が診察の範疇に収まる程度のものだった。僕がいったい彼のどこにこうも強く引き寄せられたのかといえば、きっとその距離感が心地良かったのだと思う。
ここまでは彼にも話した思い出だが、更に言うのなら、あの夜僕はよく懐いたお菓子たちを可愛がりながらでも飛び出してくる彼の常々呆れた破滅的・諦観的な考えを、塗り替えたいと思ってしまった。君はそこで立ち止まるべきではないのだと。いずれ僕は自分の情動が彼によって容易く揺らされることや、彼の夜明けの孤独を知って、そして、そのうちにあの部屋で「おかえり」や「ただいま」を言うようになった。自宅の風呂に置いた入浴剤は、消費の速度が著しく落ちた。

この暮らしを、これからも続けさせてほしい。一人では出来ない、彼の意思あってこその生活だと、わかっているつもりだった。荒波で迎えたこの夜にも花言葉を用意した健気な恋人を、僕とはまるで不釣り合いに危うくうつくしい男を、それでも手放したくはなかった。振り払ってしまってもいいなんて嘘だ。本当は君を、どこにも逃したくなんかない。
ノートごと彼に伝えるつもりで、このページを結ぶ。


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