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1407.telescope
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15 :
Dr./レ/イ/シ/オ (H/S/R)
2024/12/30(月) 19:29
こちらに技術開発部からの報告が届くのだから当然といえば当然だろうが、この時期も互いに落ち着けはしない日々らしい。他人事のように多忙を慮る彼だったが、僕はそもそもあまり季節に頓着しない性質なもので、出向く必要のある連絡が入らないかの意識をしながらでも、今日という休暇が得られたなら充分だ。ノートの体裁を整えるにあたって全てのページを見返したところ、彼を表現する言葉が今となっては適切ではないものだったので少しばかり懐かしんだ。彼とは朝にも昼にも顔を合わせるようになったし、夜空の星というには些か距離が近い。地表から見る宇宙というのはあんなにも遠かっただろうかと、星空を見上げて思うのは決まって彼と満ち足りるだけの時間を過ごした後だ。あのギャンブラーが僕の手元に落ちてきて、ふとした瞬間にその輝きが掌にあることを実感して、改めて自分がバカな例えをしていたことに気付かされる。彼の書き込んだページが目に入れば、あの男、と素っ気無さを装った呼び方で彼を書き記すことさえも躊躇う有り様になってしまった。
※
成人向けに相当する内容は含まれない、と頭に書き添える。朝洗面台に立って見る自分の姿にどうしてこんなことになったのだかと考えて、答えを導き出すまでに林檎がふたつ落ちてくるだけの時間が必要だった。昨晩、そもそも彼の肌を強請ったのは僕だった。彼の生まれを考えるに配慮するべきだろうと思い込んでいたのは僕の余計な勘繰りで、彼は躊躇いなく僕の欲望を受け入れた。痕が残るほど、をできなかったのは、やはり僕の勝手な感傷だ。加害的な傷跡の代わりに、小さなそれのいくつかと、数えるのも愚かで億劫なほど、は交換だった。幸い、石膏頭は首までを覆う。彼によって残されたこれらはしばらく消えはしないだろうが、明日も問題無く出勤することができるはずだ。彼の方はどうだか知らないが。
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