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Dr./レ/イ/シ/オ (H/S/R)
2025/01/10(金) 11:08
健康な肉体を保つためのトレーニング、入浴、読書。場合によっては頭に入浴を挟むこともあれば、その日のコンディションを見てトレーニングの内容・回数も変動する。日常的な僕の帰宅後のルーティンだ。そこに、何は無くともこのノートのページを手繰る時間が増えた。そのとき側には居ない、けれど僕の思考の中には喧しく侵食して消えない、あの男の影が厄介な翳りに変わる前に出来る対処はそれぐらいだった。けれどそれも、彼自身が側に居るのなら必要は無くなってしまうものだ。本人が覗き込むその隣で、言葉はノートに書き付けるより声にした方がよっぽど速いだろう。つまりここまでは、ペンを握るだけの時間が持てなかったことの言い訳でしかない。我ながら、見苦しい時間の浪費だ。帰宅を彼に迎えられて、休日は彼と一日を過ごして、互いの指を絡ませて、僕の夜は目の前で生きた笑みを輝かせる彼のものだった。それだけの話だ。
二つ前の夜、彼に促されて専用のペンを置くことにした。インクの色はどちらも、彼の指定に寄せている。あの男は僕に見せる仕草のひとつひとつも、ここに書き残す筆致でさえ甘く、何より素直だ。ポーカーフェイスを失っても尚、彼に根付いたギャンブラーの振る舞いをやめるつもりはないとは言うくせに。
記憶が朧で大変に恐ろしいことだが、前のページのほんのささやかな書き置きに、言葉を返そうとして文章になる前のメモがあった。これだけ惚気を書いているノートに、畳んで貼り付けておくくらいは良いだろう。あの夜の僕が確かに彼に残そうとして、機会を失ってしまった言葉なのだから。
僕の願いを叶えようとしてくれるところ
だけど生活に関しては譲らないところ
全部いとしい
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