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1407.telescope
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Dr./レ/イ/シ/オ (H/S/R)
2025/01/16(木) 02:51
好き勝手を書かれたページを一番上にしたまま、気が付けば数日が経ってしまった。眠るつもりもないのに潜り込むベッドで彼に触れて、そのうちにやって来る微睡は心地が良い。すぐ隣でシーツに身を委ねた愛おしい存在に、穏やかな眠りがあれと願うのは当然のことだろう。だから僕は話の途中だろうが平気で寝息を立て始めるあの男の、着飾った香水とは別の清潔に甘い香りだとかマヌケに緩んだ寝顔だとか、僕の腕を下敷きにして寝癖を作ろうとしている金髪だとか、そんなものたちを胸に収めてしまえば、充分に時間を使っただけの意義を感じてしまう。拗ねているだなんて、まったく勘違いをしてくれたものだ。安眠を手に入れたことには加点、寂しがりやだとかいうその言い草には減点、最終的な評価を出す前に最後でペンを持ち替えた意図を聞いてやろう。そう思っていたのに、次の晩は彼に眠りへ誘われて、それだけも言えずに眠ってしまっていた。
今も腕の中で眠っている彼に、苦しみが少なければいい。よく眠って明日の朝目覚めた彼が、いつものように眦を緩められたならいい。そうであるように、僕は眠りに寄り添っている。
自覚とは一歩先へと足を進めるための大前提のうち一つだ。愚鈍を取り除くためには、まず自身の愚鈍の程度を認めるところから始まる。「患者」が必要とするのなら僕は「医者」として、治療の手を差し出すことを躊躇わない。しかしいくら他者から治療を施されたところで、以降を保ち生きていくのはあくまで患者その個人でしかない。愚鈍の根絶には言うまでも無く、患者の意思が必要不可欠だ。そしてそれは、愚かさに似て恐怖や不安が思考に根付いているというのなら――愚鈍という単語を、恐ろしさに置き換えても変わりはないはずだ。僕がそれの根絶に、手を貸すつもりだというところまでを含めて。
前半は「教師」として繰り返し使ってきた言葉だが、今このときここに書き記すのは、半ば自戒のようなものでもある。彼に揺らされるまま思考と言動を侵していく愚かな感情を、やはり僕はまだ全体像すら碌に掴めていない。もう半分は、自身の自己評価さえ他人に言語化を託したあの男に向けて。背伸びの前に、僕に見えている君がどれだけなのか、よく思い知るといい。
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