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1407.telescope
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Dr./レ/イ/シ/オ (H/S/R)
2025/02/01(土) 14:46
技術開発部を訪ねるエントランスでさえ彼との思い出が蘇るのだから、まったくこれは確かに病で、手に負えないものだ。甘えた声の呼び出しに悪い気はせず、寧ろ彼を待たせる一秒さえも惜しかった。だから静まり返ったロビーで守衛の目だけを掻い潜って、手袋越しに、ほんの少しばかりを触れた。邪魔臭い指輪のついていない方の手を選んだのは近かったから、ただそれだけだ。それくらいの衝動で、そうせずには居られなかった。帰りが夜になったならあの日とは別の夜空の下に、けれどまた彼の体温を思い出すのだろう。今の季節のように寒い日でも、そうでなくとも。
あの男から教えられた曲にどれだけの意味があったのかは知らないし、彼から告げられた言葉以上の邪推をするつもりもない。一切覚えがなかった曲名に反して記憶にあるメロディを聞いたとき、これは厄介なことになると思った直感はやはり真実だった。僕がそれを意識しようがしまいが街中に流れる音楽は勝手に耳に入ってきて、たった一人を連想する。それだけならまだ正気だ。今日は特別、その曲に僕たちを思ったと照れくさそうに言った彼の気持ちと重なるものだから、愛おしい恋人を抱き締めたくて仕方がない。今日が彼を待つ夜だろうと、その温もりが帰ってきてくれるのならいい。
[00:25] 急く気持ちのまま作業を切り上げて、待つつもりで足を運んだ先は当然ながら彼の自宅だった。ペットたちの暮らす部屋にはいつも電気が点いてる。ドアを開けた先に彼が居るとは思っていなかったから、第一声で不機嫌を装ってしまった自覚はある。それでも腕は、理性で包み隠そうとした本心は、不思議そうな表情でおかえりを言う彼を求めて止まなかった。こちらの虚を衝くような彼の仕草も同じ理由であったなら、昨夜の僕はきっと救われる。
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