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1407.telescope
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8 :Dr./レ/イ/シ/オ (H/S/R)
2024/12/21(土) 22:51

珍しく彼との休日が重なり、久しぶりになったまともな逢瀬はいつになく甘い時間を過ごしてしまった。互いの多忙が邪魔をしたとはいえ、触れ合っていなかったのは精々2日だか3日程度のものだ。それなのに彼と言葉を交わした途端に頭のどこかが切り替わったような心地で、この数日学生の指導にかかりきりだった僕の脳味噌は一瞬のうちに彼との休息をどう過ごすべきかに塗り替えられていた。思考の澱を洗い流すよりもずっと乱暴に、まるでまったく別の自分になったようなあの感覚が一般的に「恋」と呼ばれる盲目の状態なのか、それとも何か別の言葉で定義される感情に由来しているというのか、恋愛事には不慣れなものでわからない。
僕が頭のここまでを彼に支配されているというのに、どうして上手く伝わらないのだろうか。あのギャンブラーのアホ具合はそれさえも計略のうちなのかもしれないし、彼の晒さない心の内側は僕に診断できるものではない。己の心でさえ満足に定義できていないのだから当然に、だ。少なくとも僕は君を愛していて、唇を許すのは勿論寝台に引き入れるのも甘えた顔を見せるのも本当なら僕だけにしていてほしい。それから、あのお菓子たちにだけ。最後に関しては……至極不本意だが、仕事の内だと笑われてしまうかもしれないな。そういえば、いったい自分のどこが好きなのかという問い掛けに答えるだけ答えて、僕は彼からの言葉を聞き損ねた。次の休暇に、今度は僕から質問させてもらうこととする。


静かに泣くあの男の頬に頬を寄せたとき、柔らかいその感触に何故だか僕は彼に幼さを見たような気がした。派手に飾り立てた奥底へ過去を閉じ込めて、まっさらな身体をして今ここに生きている君の未来を、その端くれだけでも僕に預けてはくれないか。もしもの仮定などよりも、分たれるいつかの日を、無いものと願ってはいけないか。


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