砕蜂は、喜怒哀楽を丸ごと全部儂に伝えようとするきらいがある。……元々はここまで素直でも、分かりやすくもなかったんじゃが。儂と過ごすうちに、すっかり分かりやすくなってしまってな。……全く。愛おしいという言葉一つで片付けて良いかも怪しいほどに、愛おしい。
儂の気持ちとは裏腹に、本人は「夜一様のせいでこうなった」とひたすら不服そうにしておるがの。全て夜一様のせいです。……ですが、最近私のせいで夜一様もそうなっているのだと思い知りました。
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儂の好きなところと、尊敬しておるところを並べてみろ、と言ったところ「これまで話したことの全て」「ですが、それだけでは退屈なのでもう少し考えます。」ときた。夜一様は、強さも美しさも凜々しさも気高さも日々更新されるものですから、どこを挙げるか選抜する苦悩たるや筆舌に尽くし難く……!
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さて、さすがの儂と言えど、フェアプレーの精神はある。スポーツをするならスポーツマンシップに則り、試験を受けるのならば会場の規定の隅々にまで目を通し、規則に従い時間内で受講をする。……つまり、結論を話すが。ここの存在を、示唆すらせずに一方的に意地悪をしかけるのは、いくらなんでも可哀想じゃろう?……と、言うことで。ふんわりと、外に隠し物をしてきておることを砕蜂に伝えた。はてさて、これが吉と出るか凶と出るか。いずれにせよ、答えがわかるのは三ヶ月後──或いは、それより前か。