えらい困ってたわ。「砂漠で胡麻を見付けるようなものじゃない?」やって。……日記の存在を知ってたらすぐに見つかるやろうけど、もし知らへんねやったらホンマに砂漠の砂から胡麻を拾い上げるんと変わらへんから──、1ヶ月経っても見付けられてへんかったら、もうちょっとだけヒントをあげてもええかもしれへんね。
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そういえば、ボクがおらへん間は何してるんやろ、と思て聞いてみてんけど、──やっぱり、ボクは乱菊とおるんが好きや。ボクがおらへんかったら何にもできへん、息の仕方も分からへんなる、って言う子より、ボクはボク、乱菊は乱菊、てお互いある程度の線引きながら付き合えるんがええ。死神なんてやっとったら、いつ死んでしまうかもわからへん。特に、隊長を務めとったら、尚のこと。危……ボクがおらへんかったら生きるも死ぬもできへん、なんて言われたら、どないしようもなくなってまう。進む一歩が、踏み出されへんようになってまう。
やから、乱菊も、乱菊とおるんも、好きや。乱菊はボクのために変わろうとしてくれるし、それと一緒に、ボクのせいでメチャクチャになってはいるんやろうけど、自分自身を損なうようなことも、自分の身を擦り減らすようなことも、全部投げ出すことも、せえへんから。
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人のことを起こす、て難しいことやろ?
やります、て言うても、躊躇ってしもて、中々できへん。けど、──乱菊は、ええ子やから。独り言みたいに沢山話しかけて、ボクのことを起こそうとしてくれる。
乱菊がおる日と、乱菊が起こしてくれる日は、目覚ますんがほんのちょっとだけ楽しみやねん。朝起きるんはあんまり好きやないし、なんやったら、昼寝から目覚ました時も気分が重なることが多いんやけどね。
起きたらまた話せる、起きたらまた声が聞ける、て思えるからやろか。
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書ける時は毎日ちょっとずつ書いていこかと思ってんけど、中々難しいもんやね。纏まった時間と、……あとは、分からへんように嘘吐いて、ああ、けど、吐く嘘は三ヶ月後の乱菊が拗ねへんようにせなあかんから、それも難しいなァ……。やりたい事はぜーんぶ、素直に言う、て決めてんねん。やから、やりたいけど我慢してる事は書かへんし、他の人が頭にチラつくかもしれへんことはもっとなし。あーあ、えらい書くんが難しい日記になってしもたわ。
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0322
はい、ボクの負け。
あたしの勝ち……なのかしら。なんだか勝ち逃げされたような気分だわ。