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114 :大倶利伽羅
2024/11/23(土) 23:50
Stella
……俺の分は、間に合ったな。
封書>国広へ
筆不精の刀としては、既に、ただの三通目で書き出しに詰まったわけだが。
三年目を迎えたこの日に、また筆を執ってみる。
年々、俺達の本丸においても、寒さと暑さとが極端に苛烈になっていく中、今日も今日とて、あんたは俺と共にいる。
今年の夏も、凄かった。
冬は、もう少し手加減してもらいたいものだが、果たして。
防寒対策と、来年の夏場へ向けての猛暑対策を検討するとしよう。
あんたをこの腕に抱いて、その髪に、顔に、背に触れて、心身共に穏やかに、あたたかになって、と。
俺は、俺が日々感じているしあわせを、どれほどあんたに分けられているだろうか。
これは、俺がよく、自身に対して思う事だ。
より多くと、あんたをしあわせにしたいのに、かなっている気がしない。
俺ばかりが、あんたの優しさに、愛らしさに、満たされている。
驚くほどに伝わっていると、教えてはもらったがな。
まだまだ、総てではないと思うぞ?
目覚めた時、俺の気配に気付いた時、名を呼びながら探してくれる。
湯上りの髪を、丁寧に拭いながら撫ぜてくれる。
不調な時に、気遣って背を撫で擦ってくれる。
他所には決して吐き出さない弱音や苦しみを、俺には零して、その想いを分けてくれる。
加減下手なままの恋情や愛情を、言葉で、触れ合いで、伝えた時に、受け止めてくれる。
これは、さも当然だと言わんばかりの時も、嬉しそうにはにかんでくれる時も、どんな返事だろうと、その時々のあんたらしくて、つい笑ってしまう。
また俺が、嬉しくなって、しまう。
多すぎる、重すぎる、鬱陶しすぎる時は、気にせず聞き流してくれていい。
その程度で枯れ果てるほどの、限りある想いではないからな。
ああ今日も、自分という刀を唯一だと謳って、愛して、愛して止まない刀が、一振り確実に此処にいるのだと、それだけ知っていてくれれば、いい。
待てが効くかはわからないが、試す分にはあんたの自由だ。
あんたの望まぬ事、嫌がる事は、したくない。
眠気が絡むと、本当にただの鈍ら刀でしかない俺だが、それでも、かなう限りの時を、あんたの傍で、あんたと共に、重ねていきたい。
駆け抜けていくような、早い時の流れの中でも、この手を放さず、ずっと。
毎年と言わず、毎日のように、呆れられる時もあるほどに、あんたへの想いを囁きながら。
今日も、あんたが、誰よりも大好きだ。
大倶利伽羅
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