裁定
わし、仏さんの国に生まれてしょうげにえかった
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西洋の宗教には詳しゅうないけんど、あれは……一体どがなもんじゃろな。
人間生きちょって苦しい事、辛い事、思う様にいかん事は山程あって、生きていくがはまっこと大変な事じゃけど、西洋の神さんはその大変さを人が生まれながらにして負う原罪に対する罰じゃち言うちゅうがじゃろ?
人生の喜びに当たるじゃろう愛や慈しみも神からの許しを得る為の許し合いで…、…?聞いちょっても…えぇ…?と、戸惑うばかりでおったちや。流石にそがな…その…、…幾ら何でもそれは厳格過ぎゆうろ。
仏教じゃあ基本的に人が生きていく上で付き物なその辛さを、辛いのう、苦しいのう、ほじゃけどこがな考え方もあるちや。肩の力抜いて行くぜよ、どうせ避けては通れんのじゃき。皆一緒じゃ、わしが付いちゅう。……と人の営みに寄り添うて言うちょるもんが多いきに、あの厳しさはちっくとひせくるのう。
その結果、如何に自分達が悪くないか、咎め立てされるに値せんかを怖じけず主張する事で道が拓けるっちゅうあの構造は……正直わしには理解が追い付かん。
そこに人としてあるべき正しさやら美しさは感じ取れざった。
人の心の醜さをマスターに負わせまいとしたアヴェンジャー連中の、ああいう在り方をこそ導きというがやないろうか?…いや、やり方は乱暴過ぎて論外じゃけど。結論がどうあれ過程が目茶苦茶過ぎゆうけんど。
ルーラー特異点の今回はまっことその逆。過程はしょうげに理性的。論理と合理に満ちて公正で。そのくせ結論が理非に思えて仕方ない……そがぁに感じてしょうなかったがよ。
……所詮悪属性の物知らずなわしじゃきにそがな風に思うんじゃろか。