纏まった休みを互いに貰うて片方の部屋にしけ込みゆう。年越しそばを啜って、除夜の鐘を聞いて、新しい年を迎えて、そのままあいたぁの誕生日祝いまで…。しょうげにわしらのマスターは話の解るえいマスターよな。こがな私情まみれの私用の休暇でもポンとくれるんじゃき、その分普段からキッチリ働いて返ささんと。

ところで。去年を契機にこの時期どうにも胸が閊える様になりゆう。全身全霊、全力で目出度い年始とあいたぁの誕生日を祝うちゃりたいんに、気ぃばかりが上滑りする様でならん。もう何年にもなる付き合いじゃきに、飽きて来ちゅうじゃとか手を抜いちゅう様に思われちょらざったらえいけんど…。

断じてそがな事は無いきの。
今年も一年、しょうげに世話になったちや。また来年も宜しゅうお頼申します。

マスターと二人、その時間まで起きて待っちゅう。
特に話す事らぁて有りゃあせん。
じっとその時が来るのを待って、時間が過ぎたら解散しゆう。

夜が明ければ何でもない一日の始まりちや。
一年の締め括り、最後に手の回りきっちょらん場所の掃除でも手伝うちゃるとするかのう。

わしからあいたぁへやったもんは服飾品。…ちゅうても貰うたもんとは比べもんにもならん様なつまらんもんじゃけど、自分が選んだ代物が好いた相手を飾ると思うと何とも擽ったい気分になるもんじゃな。あいたぁがせっせとわしに装飾品を貢ぎゆう気持ちがちっくと解る気がしゆう。

ふと気になって調べてみたら、わしがあいたぁにやった靴にも時計のプレゼントと似た様な意味合いがあるらしい。ヒヒッ、案外悪うない選択やったみたいちや。
靴と手袋のプレゼント。それを着けてどこぞへデートに行こうち新しい約束も出来た。こいたぁ思わん収穫ぜよ、早速どこへ行こうか見繕わんといかんちや。

毎年毎年イエス・キリストらぁて縁も所縁も無い御仁の誕生日に、祝う気持ちも祈る言葉も持たんまま便乗しちゅうだけなんに、めっそう暖かいえい思い出を積み重ねさせて貰いゆう。
偶には心を入れ替えて、まずこの御人が何をなさったかっちゅう所から学んでみんとならんのう。マルタがえいか、ジャンヌ・ダルクがえいか…。誰に聞くにしてもあんまり小難しい事は解らんき、小んまい方のジャンヌに聞くがが一番えいかも知れんちや。あいたぁもサンタじゃきうってつけぜよ。

時計を貰うた。
わしにはもう銀無垢のめっそうえい懐中時計があるんに、何とも高価そうな腕時計。文字盤はあいたぁを思わせる夜色で、上品な深い海の色の縁取りがある誰が見ても一級品と解る代物。
これまで何度も「わしに金目のモンらぁて渡したらすぐに質に入れてしまうきの」と散々脅し付けちょるっちゅうがに、未だに懲りもせんでこがなもんをせっせと渡して来ゆう…。

昔。…そう、召喚されて以降初めてあいたぁに誕生日を祝おて貰うた日。ピカピカの懐中時計を貰うた日に言われた言葉を憶えちゅう。時計を贈る意味も、あの時計をあいたぁの何じゃと思うて大事にして欲しいと言われたかも。
ウォルサムの銀時計があいたぁの心臓なら、この腕時計は何に見立てるががえいじゃろう？いつでも穏やかにわしを見ゆうあの目じゃろうか？何かにつけわしの頭を撫でゆうふとい手じゃろうか？心臓らぁて大層いもんやのうてもえい。例え爪の先程の取るに足らんもんじゃとしても、わしにとってのあいたぁはどこもかしこも貴重じゃき、何一つとして失えん。

わしがあいたぁに告げた言葉に嘘は無い。あいたぁから貰うた全部、何もかも座に持って行ってしまいたい。宝具にらぁて贅沢はもう言わん。言わんけんど、せめて記録としてでも留め置きたいち思いゆう。失くしとうない。ずっとずっと大事にしゆう。

結局ポリネシアン何ちゃらは途中で切り上げて……、切り上げられる状態で踏ん切りが付いてえかったちや。二進も三進もいかん程極まっちょったら年末行事全部放り出してあいたぁを寝台に引き摺り込まんとならん所やったきに。
早めに提案してくれたあいたぁには感謝せんといかんにゃあ。

そういう訳でちっくと早いけんどクリスマスを始めたがよ。今年はお竜も交えて三人で焼肉。牛一頭丸々解体したかち思う程仰山の肉持ち込んで、端から全部焼き捲っちゃるきのう！！

えい酒とえい飯と気のえい仲間。
まっこと堪らんえい年末じゃ。