盈月の儀
将軍様のお膝元で聖杯戦争…じゃと?
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そがな事を思いながら追い始めた異聞の江戸の町も、騒動の終焉を見届けんままカルデアの管制室が新しい特異点を補足してしもうた。
よその世界の話じゃからと、余裕かまして成り行きを追うちょったのも今は昔。
例えば李書文。あのクソ爺の上からものを言う態度には腹が立ってしょうがないけんど、あいたぁの強さや技に対する強欲なまでの探究心にはわしじゃって頭が下がるち思いゆう。
ほじゃけどあの爺が言う事には……どういてかわしの過信を、傲慢を、怠惰を惜しんじゅう節がある気がしてならん。わしは何も怠けちゅう訳やないちや。わしが天才なんも強いんも、別に間違っちゃあせんろう!
その爺があの宮本伊織とも対峙すると知った時、わしは心の臓がヒヤリとするのを感じた筈じゃ。
今回の特異的調査でも、間違いなくマスターは宮本伊織を連れて帰りゆうじゃろう。あの宮本伊織がカルデアに来ゆう。
あの剣鬼の在り方を前に、あのクソ爺は…わしの剣は…一体どがな答えを出せゆうものか。剣の道、らぁて…人さえ斬れりゃあわしにはどうでもえい気でおったんに。