>４、安楽死には賛成？反対？またその理由は？
死にとうて死んだ訳やないき、死にたい奴や死なんとならん奴の気持ちは解らんけんど…。世界がこうなる前、マスターが普通に暮らしちょった世はどがな立場の誰もが尊重される…尊重し合う事が美徳とされちゅう世の中なんじゃと聞いたちや。
ほいたら死にたい連中の気持ちや考えも尊重されるべきなんやないろうか？
ほりゃあ、よくよく話を聞いた後まだ打てる手が残っちょったき死ないで済んだ…ちいうなら軽率に自死を支持する訳にはいかんじゃろうけど。「兎に角生きちゅう方がえい」「どがぁに辛うても生きちょりさえすればいつか何ぞえい事あるじゃろう」…みたいな言葉は何の慰めにもならんし解決にもならん。無責任な話じゃなと思うのう。
……とは言え、死にたがっちゅう奴がマスターじゃったらきっとわしも下手くそで無責任な言葉で何とか死なさん様にしてしまう気がするき…、…こればっかりは難しい問題じゃち思いゆう。安楽に死ねさえすれば万事解決っちゅうもんでも無いきの。そいたぁがそこに確かに在るのと、その存在が永遠に喪われるのとでは……本人の望みがどうあれあまりにも違い過ぎるもんじゃきに。
失敗知らずのわしの護衛が、命だけやのうてそいたぁの心や尊厳までも護れるもんじゃったら…きっともっとえい考えも思い付けたかも知れんがの…。

>５、一番の親友から「死にたい」と打ち明けられました。何と答えますか？
お竜は……あいたぁは、わしら三人の中で唯一自分の身を自分で処した豪傑じゃ。わしは首斬り役人にスッパリいかれてくたばったし、龍馬は不意に斬られておっ死んだ。どっちゃも望んだ結末なんぞやないけんど、お竜だけは自分でそうと決めてし遂げた奴じゃ。
やき、死っちゅう概念では無かったにしろ自決っちゅう括りだけで考えゆうなら、お竜が言う分にだけは「そうした方がえい」とか「正しい判断」な可能性があるき一蹴する事は出来んち思う。正しいっちゅうがはつまり「本人が一番納得して安寧を得られる幕の引き方」…としての話ちや。
その点、龍馬がそがな事を言い出した時は一も二も無く疑って掛かるじゃろうな。……まぁ状況にも依るじゃろうし、わしの知らん所で自死自決玉砕捨て駒…ありとあらゆる死に方して来ちょりそうじゃけど。そうじゃからこそあいたぁは信用ならんちや。「取り敢えず自分が死んでも何とかなる」とか「自分がここで退場するからこそ道が開ける」っちゅうて当たり前みたいに自分の生死を手段の一つに勘定しゆうきの。
もしも、もしもあいたぁが背負う重い重い生き方とその道行きに心底疲れ果てて言うた言葉じゃったら…、その時は思いつく限りの気晴らしと寄り道を楽しみきってから一瞬の痛みも感じん様な介錯位はしちゃるちや。

>６、あと一週間の命です。後悔しないようにしたいあなたは、何をしますか？
結局大した事は出来んじゃろうな。最初の二日は状況を飲み込む事すら出来んで暴れたり騒いだり無駄に過ごしゆうじゃろう。たかが二日で正気に戻れたら御の字じゃ。次の二日は身辺整理と挨拶しちょきたい所を回って潰れる気がしゆう。残りの三日はあいたぁんくに入り浸って過ごせたらえいけんど、三日も自陣に帰らざったらきっと怪しまれてしまうきに、一日目は立花と立香の所で過ごして残りの二日をあいたぁの部屋で過ごすとするかの…。どのタイミングで消えてしまいゆうか、正確なリミットを計測して貰おちょくんも忘れん様にせんと。
……、…これが座に還る程度の別れなら、あいたぁには最後まで黙っちょこうと思いゆう。もし、万が一、英霊の座からも抹消される様な話じゃったら……その時は本当に、本当に可能な限りの時間をあいたぁと過ごしたいき、しゃんしゃん事態を理解して、すっと飲み込んで行動に移せる様に。手短にでもきちんと説明出来る様になっちょかんと。頭の悪いわしにはなかなかの難題じゃな…。

>１、最初好きで熱中していたのに、結局色あせてしまったものはありますか？
ほりゃああるぜよ。最初ほどの情熱が無うなってしまいゆう事らぁて山程あるちや。…けんど、世慣れた大人の女がしみじみと、口を揃えて言う事には「男なんてものは昔の女がいつまでも自分の事を好きでいると思ってる愚か者」とか何とか…。
わしも他聞に漏れずそがな男の枠に嵌っちゅう気がしゆう。
そもそも、ちくとも気の無い相手がいつまでもいつまでも自分を好いちゅうらぁて…そがな気色の悪い妄念に好き好んで浸りゆう奴なんぞ居らんちや。
好かれちゅう筈じゃとニヤニヤしながら思う時点で、男の方こそ昔の女をいつまでも忘れられいでおる証拠じゃろう。…格好の付かん話じゃけんどわしもそのクチぜよ。一度好いたもんは例えどがぁに関係が変わっても、気持ちが目減りしてしもうても、いつまでもいつまでもしつこく想うてしまいゆう。
引出しの奥の方に大切に仕舞い込んでからも、何度も取り出しては懐かしげに眺めてしまいゆう。色褪せようが大事なもんは変わらんき。まっこと呆れた性分よな。

>２、なんだか人と分かり合えず、一人ぼっちで孤独だなあと感じるのはどんなとき？
……分かり合えん事が孤独…？んん…、よう解らんのう。人の考えが相容れん事らぁてそこら中にあるろう。わしらぁてこれっぱぁも上士共の考えなんぞ分からざったし、分かりとうも無かったちや。やれ勤王じゃ、やれ攘夷じゃっちゅうて騒いじょった時も佐幕派の連中なんぞ沈む泥船にしがみつきゆう阿呆共にしか思えざったき…。
……まぁ、勤王党に人が増えるにつけ、小難しい事を鹿爪らしい顔して話しゆう連中ぎり寄り集まっちゅうのを見るにつけ、あの武市がまるで知らん奴みたいに段々と、言うちょる事も考えゆう事も解らん様に…見えん様になっていったがは正直寂しかった、ち思いゆう。
分かり合えいで孤独を感じるっちゅうがは、その相手の事を好いちゅう証なんやないろうか？心を寄せちょる相手の気持ちが解らんがはしょうげに寂しい事じゃきに。
武市はわしの事なら何でも解るち豪語しよったけんど、せめて昔馴染みの同胞なんじゃきわしも同じ位あいたぁの事を理解しちょってやれたなら……そがな悔いはどういても残るちや。

>３、実はみんな表面的で見せかけの偽善者だと感じた瞬間
あるじゃろなぁ。ほがな状態を世間では「世を拗ねる」ち言うがよ。とどのつまりは己一人で拗ねちゅうだけちや。自分、自分、と自分の考えに凝り固まって、自分の殻に閉じ篭もっちゅうき相手の深い部分も葛藤も、どういてそうしゆうんか、そうせんとならんかも全然見えん様になっちゅう状態じゃろ。
自分の物差しだけで数多の他人を推し量れる気でおる時点で烏滸がましいし間違っちゅうがに、その手の妄執に取り憑かれるとそがな簡単な事すら解らん様になってしまいゆう。
三十路も越えいでよう生きざった若輩者のわしが言う事や無いけんど、そがな事を子供でもない者が言うちょると鼻でもほじりとうなるのう。子供が言うちょったらその時は構い倒して揶揄い倒しちゃる。アキハバラで出会したばっかりの頃のエリセなんかは見るからに拗ねちょったもんにゃあ。

>>40　に続く

例のどエライ化け物と交戦し始めて早や数時間。今頃立香んくのカルデアでも似た様な状況に陥っちゅうんじゃろう。
……と、なると一人心配な奴が居りゆうな。

坂本龍馬。
蜘蛛が大の苦手なあいたぁが、まともにあの化け物と対峙出来ゆうものか心配でならんちや。

いつか…いつか、あいたぁが本来の勤めに戻る時も“坂本龍馬”の霊基グラフはあがな風になりゆうんじゃろか。わしの事も連れて行くちあいたぁは言うちょったし、わしもそのつもりで浮かれちょったけんど…、あがに落ち込むマスターを前にしていざその時去る事らぁて出来るんじゃろか…。

ついて…行ってしょうげにえいもんながか…。
ちくと考えてしもうた。

あいたぁの道を拓くがはお竜に任いて、わしは見送るべきなんやないろうか…。二人が戻んて来ゆうんを待っちゅう方が…正しい、気がする……けんど、ほじゃけど…、…。







諦めんじゃとか、何ともならなさそうな事を何とかするっちゅう根性もわしはここで覚えたき、あいたぁの傍に居りたい気持ちを抑えられんし誤魔化せん。
聞き分けらぁて、どこぞへ捨てて来てしもうたみたいちや。

再突入の体勢が整うまでちくと手間取ってしもうちょったき、その間マスターらがバタついちゅう横であいたぁと話しちょった。
持たせて貰うちょる通信端末の操作は未だに慣れん。
あいたぁみたいに片手でスイスイとはいかんちや。不器用に人差し指一本で一字ずつポチポチ打ち込みゆうわしの姿は、ほりゃあ傍目にも滑稽なもんじゃろう。

異聞帯攻略も大詰め。どこかわしらも浮き足立っちゅうがは否めん。暫くの間はあいたぁとアホみたいに戯れゆう事も出来んじゃろうけど……無事に戻んて来さえすりゃあ、ほれでえい。