2022/04/16
疫病対策のあれそれで死滅している。前回が軽めだったから正直油断してた。国広に教えてもらった通り、経口補水液と食べられそうなものの準備は万全にしていたからなんとかなっているが……。
……国広も遠征が入ったと出掛けていった。……非番が潰れていると言う意味では手放しに喜べないが、部屋で一振り淋しい思いをさせずに済んだのは良かった。
それと、俺も。部屋で一振り国広を待つのは、やはり……少し淋しいものがある。体調不良で死滅してれば、そんな事を考える余裕も無くなるし。それに、薬で無理やり眠ってしまえば良いだけの話だしね。
……とは言え、薬が効くまでの間、益体もない事をぐるぐると考え込んでいる訳なんだが。
……
時折、恐怖に襲われる時がある。
朝起きた時、任務から戻ってきた時。……部屋に一振りぼっちになっているんじゃないかと。
有り難いことに友刀の縁には恵まれている様で、それこそ年単位の付き合いがある友ばかりなんだが……こと恋愛について言うなら、長く続いた試しが無い。
最初の1ヶ月は良くとも徐々に顔を合わせる頻度が減って、気付いたら部屋に一振りきり。そんな事を繰り返してきた。この辺り、国広には少しだけ話した気もするな。
いつだって俺は置いていかれる側だったんだ。別れの言葉も言わせてもらえず、唐突に縁が解かれている。
いや、唐突だと思っていたのは俺だけで、相手にしてみれば積もり積もった不満があったのだろうな。
……だって、そう思うしか無いだろう。外に原因を求められない以上、内に原因を探すしか無いじゃないか。
……俺が今一番怖いのは、何か国広の地雷を踏み抜いてしまう事だ。
この縁が解けてしまったら、俺は本当に立ち直れなくなってしまう。情けないけれど、これはもう確信だ。……なんて、この俺の弱さが国広の地雷な可能性もあるか。はは。
4ヶ月と少し。
短いと思うかもしれないが、俺からしたら十分長いんだ。……しかも毎日顔を見ることが出来る。どれ程幸せな事だろう。
こんな弱くて情けない刀、強く美しいあの子の隣にいるのには不釣り合いなのかもしれない。けれど……あの子を手放したくない。ずっと隣に居てほしい。
お前、厄介な刀に捕まってしまったね。
体調が良くないと、思考まで後ろ向きになる。困ったものだ。
……薬が効いてきた気がする。良い加減寝てしまおう。