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　アンタの帰ってくる声が、音が好き。アタシが諸々を終えて休んでいる間、帰ってくるその少し前に『そろそろ戻る』とスマホに連絡がくる。案外マメよね、アンタって。それを聞いたアタシが待ち遠しさを返事に滲ませる姿が、アンタには見えない耳や尻尾をぴんと立てているように見えているんでしょう。全く、格好がつかないこと。……でも、そんな風に自分の気持ちが抑えきれないくらい、アンタが帰ってくることが嬉しいのよ。犬のようだと揶揄われる事は分かっていてもね。
　そうして期待と嬉しさでそわそわとアンタを待つ内に、少しだけ草臥れた様子のアンタがやってきて……アタシがおかえりなさいと告げて、アンタはただいまと返して緩く笑う。アタシはその声が好き。アンタが好き。

　ふたりきりのときの、特別に甘い声が好き。揶揄や皮肉の効いた言葉に、ふたりきりなのにって少し拗ねたり心配したりするアンタが好き。愛情のこもった言葉が好き。アタシの前だけの特別なアンタが好き。好きをあらゆる手段で伝えているときの、アタシを見るアンタの目が好き。真っ直ぐな愛情の好きなアンタが好き。アンタのすべてが好き。どんなアンタもアタシは大好きよ。

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　明日起きてきてこれを読んだアンタが、少しでも嬉しい気持ちになってくれたらいい。

>> 3/3

　本当に何一つ思った通りにならない。もっとアンタの側に居たい……デートだってキスだって、それ以上のことだってもっとしたいのに、体調が追いつかない。ああ、はやくアンタの喜ぶ顔が見たい。心配そうな、不安そうな顔ばかり見ている気がする。どの顔も恐ろしいほど整っているけれど、やっぱり笑っている表情が一番好きよ。
　何度も言うが急ぐ事ねえんだよ。ちゃんと待ってるし側にいる。心配はするが俺が勝手にしてるようなもんだからお前が申し訳なく思うことなんて何もない。安心して寝込んどけ。
　……ありがとう。少しずつ楽にはなっているからアンタももう少し肩の力を抜いて、安心して過ごしてちょうだいね。アタシが弱音を吐いた夜にアンタが一緒にいてくれたこと、本当に感謝してるのよ。

Stay who you are.

>> 21ヶ月記念。

　1年と9ヶ月。季節が巡って、もう春はすぐそこ……なんて書き出しを考えていたのに、この寒さは酷いと思わない？　暦の上ではもう春なんて信じられない、手はかじかんで冷たいしアンタはまだまだ寒さに震えてベッドで丸くなっている。……いえ、アンタがベッドでゴロゴロしてるのはなにも冬に限ったことじゃない、一年中のことだったわ。この21ヶ月アンタを見てきたアタシが言うんだから、間違いないでしょう？


>>

　そういえば、何故かなんて理由は知らないけれど、記念日当日は『スーパー猫の日』だったらしいことを聞いていたんだけど、まあ諸々の諸事情によって猫の日らしいことをして楽しむこともなく、穏やかにお互いに感謝しながら幕を開けて、なぜか、な ぜ か、バカにされながら可愛がられて（別に根に持っている訳ではないけれど）幕を閉じたわ。

　でも折角の猫の日、アタシのかわいい猫科のアンタをちやほや出来なかった悔いを告げたら、アンタがいつもの調子でアタシを揶揄うものだから……なんていうか、つい魔が差したの。別に意地悪のつもりはなかったのよ、まさかあんなに覿面に効くとは思わなかったわ。アンタ、本当に猫の獣人化したアタシがお気に入りね。


>>

　いつも改まって感謝してるとか側にいられて嬉しいだとか書くから、今回は趣向を変えてあくまでも日記として書いてみたんだけど……これだと例の『糖度クレーム』が入りそう。……よし。

　レオナ。アタシの全てを愛して、愛でて、口付けてくれるひと。なにもかもに可愛いだの、愛しいだの言われるのは今でも少し慣れなくて、つい可愛くない、なんてそれこそ可愛くない言葉を返してしまいそうになる。でも、アンタが可愛がってくれる言葉も手も、拒否するにはアタシはもうその甘さを知りすぎてしまっていて、結局毎回アンタに大人しく愛でられてるのよ。アンタの調教の成果ってやつかしらね。

　一晩中でも、一日中でも、アンタのしたいことに好きなだけ付き合うわよ。耳だろうが尻尾だろうが、アンタの好みのスタイルになることだって厭わないし、大胆でセクシーな衣装がすきなら、それだって、……恥ずかしさなんて、アンタの喜びに比べたら安いものだわ。アンタが好きだから、アンタが喜ぶことを全て。アタシの行動基準は、前からちっとも変わらない。これからもたくさん喜ばせるから、嬉しい気持ちをたくさん伝えてくれたら、アタシも嬉しい。……大好きよ、レオナ。21ヶ月も側に居てくれてありがとう。……愛してる。

Shhh.

>>

　眠るアンタの隣で考えることの話。

　なんて、改まった書き出しをしたは良いけれど、別にそこまで大仰なことは考えていないのよ。例えば……睫毛が長いとか、三つ編みの癖が残っているとか、偶にぷす、と空気が抜けた様に鼻から鳴る寝息がかわいいとか……同じベッドの中でぬくぬくと伝わる体温が心地良いとか、そんな瑣末なことばかり。
　けれどそうね、つい先日まで体調の思わしくなかったアンタと交代するみたいに、今度はアタシがダウンしてしまって……うとうとと寝付いた夜のうちに、何がって訳でもなくふと目が覚めることも最近はしばしばあって。そんな時は、なんとはなしにアンタを見詰めてその日の出来事や交わした会話を思い出して、ぼうっと過ごしていることも多いわ。

　……幸せを噛み締めている、ってほど、はっきりした意識をもってあれこれ考えているわけではないの。例えるなら、一つ幕を隔てた向こう側から響く優しげな歌声の子守唄をただ心地よく聞いているような、ふかふかのブランケットで全身を包まれてじんわりと温められているような、そんなやわらかな幸福感。そういうあたたかな感情に身を委ねている内に、アタシは穏やかに眠りにつけるのよ。だから、日々保たれるアタシの美に、アンタの助力も少しくらいは貢献してくれているのかもね。アンタが自覚しているかどうかは知らないけれど。

　……毎日、幸せをありがとう。改めて言うのはなんだか気恥ずかしいけれど、いつも思っているわ。


>>

　ああそうそう、一足先に軽く私信を。お手紙を送ってくれたアンタ、丁寧で心の篭ったあたたかい言葉をありがとう。レオナと二人で拝見したわ、また改めて返事はさせてもらおうと思うけど……とりあえずこの言葉で既読代わりとさせてちょうだい。
　あとこれはアンタ向けの私信なんだけど……多分字数オーバーで私信の追記はできないと思うから、後で別にページを取ってちょうだい。……ついたくさん書きすぎてしまったの、アンタの分もちゃんと残しておけばよかったわね。