ねこぐらし - white2

　一人寝の侘しさなんて慣れてるのに、それでも。かさぶたが剥がれて、また新鮮な痛みを感じるくらいに……今となっては心地好い空間と、時間と、存在になってた。いつか離れていくんだろう自然の摂理に怯えて疲れて、暫くひとところにはとどまらないと決めて野良でふらついてたのに。初めて引き留められたあの日の言葉通り、気付けばガッツリ巣作りしてたわけだ。
　この土日で、尚更あの家が、あのベッドが、あの体温が、恋しくなった。……ま、体調が芳しくなかったせいで尚更人恋しさみたいなもんに拍車がかかってたっつーのもあるけど。率直に伝えられる寂しいだとか、会えるのが楽しみだとか、嬉しい、とか。臆さず言えるオマエが、ああ、やっぱり眩しいな……と。思わずにはいられないわけですよ、オレは。言ったら負担にならねぇか、なんて不安と臆病。面倒くさがられたり引かれるんじゃねぇかっつう小心と自己防衛。そんなくだらないアレソレで言葉に出来ないことが増えに増えたオレからしたら、目が眩みそうになる。
　こんなどうしようもねぇのを手元に置きたがる物好きの気が知れなくて、怖くて仕方ないのも本音。けど、こんなのでも必要としてもらえることが嬉しいと感じるのも本音。……それを置いても、会いたい、って感情が湧いた時点でもう手遅れだってのは自分が一番よくわかってる。

　とは言え、だ。今更猫撫で声で擦り寄るなんてことが出来ないのもねこの面倒くせぇところで。ただそれでも、今日くらいは、少しは……気抜いても許されろって勝手な気分が巣食って仕方ない。だから飼い主が言うところのぎゅうってやつを会ったら力加減せずにしてやろうっつう目論み。思い切りハグかましてやるから覚悟してろよ。

　結局ダメでしたー、つってな。お互い寝まくったわ。……まあでも、アイツの朝の動き見て気分が変わるんだからオレも存外チョロい。