どんなに寂しくても、虚しくても。裏切って、編して、言い訳して。一人で生きる。師匠に言ったその言葉通り、姫ちゃんは今もそうして生きています。
　嘘をついて生きれば生きるほど、自分に嘘をつくのも上手になっていくですよ。

　とっても、とーっても、ずるいんです。まるで期待させるような言動を見せるのに、自分の腹の内は明かさないだなんて。腹を見せないのはお互い様だとしても、そうと決めたなら弛みは見たくないものなんですよ。それが無自覚でも、意識的にしてるものだとしても、です。だって、余計な情報が溢れちゃうじゃないですか。割り切りたいのなら全てしっかりくっきりはっきりと、線を引きましょう。
　信頼に足り得るものをくれないのに、それが無ければ歩み寄ることの出来ない望みを言うのは狡いと思いませんか？　そんな人に甘えるなんて出来ないです。安心して、手放しで気を許すことなんて出来ないです。本音を明け渡すことなんて、もっと難しいです。この巣を旅立つ時に、〝私〟が駄目になっていたら、どうしよう。そんな、甘ちゃんな不安じゃないですよ。これはただ単純に、姫ちゃんが隠しているものを委ねられる程の関係性じゃない、に尽きるだけなんです。

　ちょっとだけ。ちょっとだけ、私の一欠片を預けてみたいかも、なんて思っちゃったんです。
　でも、これで全部軌道修正出来ました。
　きっと、大切にはしてもらえないから。

　姫ちゃんはやっぱり、自分を貫くですよー！　残念ながら今の姫ちゃんは、甘えられるより甘やかしてもらいたい盛りだったりするです。甘えたいわけじゃなくて、甘やかされたいんですよねー。面倒くさいのは千も把握してますけど！　……あれ？　師匠のキレキレなツッコミが聞こえてきそうな予感がするです。
　少しずつ餌を貰いに行くのを減らしましょう。適度な距離感を保っていけるのなら、のんびりと。距離を開けるとなれば、さようならの道を。
　いっときは久しぶりに聞くと嬉しくて、好きかもしれないと思った言葉ですけど。今はまた、ちょっとだけ苦手です。