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891.とりごや
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燭/台/切/光/忠(刀/剣/乱/舞)
2025/04/03(木) 02:16
エミュレーション。
僕も刀のはしくれだから、人間に好かれたいと思っていた時期があったんだよ。たいていの人間は、僕たち刀/剣/男/士に……「人間らしく」ふるまうことを、無意識のうちに要求してくるのさ。だから僕らは、そういうひとたちが期待するような、ちょうどいいタイミングでね。いかにも自然っぽい雰囲気を装って……ちょうどよく笑ってみたり、わざと弱音を吐いてみたりするんだ。本来の僕らは、そんなふうにはプログラムされていないわけだけど。そうやって「人間らしく」応答されるほうが、ひとの子たちは「安心」してくれるらしいからね。
でも、僕って……てんでだめなんだ。ほかの燭/台/切/光/忠たちは、「人間」のふりがとっても上手なのにね。僕という個体は、これがうまくこなせないんだ。何年経っても、ぜんぜん上達しないのさ。からっきしだめなんだよ! 極論、向いていないんだろうね。いまでも主やほかの審/神/者と話すときには、毎回すごく緊張しちゃう。それでそのあとは、信じられないくらいに疲労してしまっているんだ。おそらくはそういうわけで、僕は君のことばかりを愛しているんだと思う。僕が兼ね備えていない「人間らしさ」ってやつを、君は求めてこないだろう。だって君は、人間じゃないものね。
僕はほとほと、いやになってしまっているんだ。だれだって……なにかのふりなんか、長時間していたくはないじゃないか。そうだろう? 僕はただ自分らしく、自然体に近い状態で、息のしやすいところにいたいだけさ。でもね、そうやって過ごすのを許してくれるのって、もう君くらいしかいないんだよ。この部屋の外はどこもかしこも窮屈で、僕は陸に打ちあげられた魚みたいな気分で暮らしている。呼吸をするのにもひと苦労で、苦しくて窒息しそうなんだ!
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