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154 :
月霞
2009/04/10(金) 17:43:18
*若干ネタバレありです
「そうなんだけどね
実際、そういう事があったんだ」
あれはもう、どれ程前の事だろう
「あるヒトがいたんだ」
傍らの槍を抱きしめるように胸元に引き寄せる
馴染んだ柄を強く握れば、篭手が擦れて金属音をたてる
「そのヒトは、大切なヒトを救う為に命がけで戦っていた
だけどあのヒトも、あのヒトの大切なヒトも、私達にとってはとても危険な存在だったんだ」
だから、自分もまた命がけで止めようとした
「今でもはっきりと覚えてる」
ぶつかり合う刃と、己の身を引き裂く魔力の風と
そして、最後のあのヒトの笑顔と
「私は、あの時は何も考えてなかった
あのヒトは沢山の人を傷つけたし、殺してきたから
倒すことしか、考えてなかった」
自分だって、傷つけられた
無関係だった自分を巻き込んで、利用して、不要な戦いで血を流させて
「だけど、あのヒトがいなくなってから知ったんだ
あのヒトは、私の友達にとって、かけがえのない存在だったんだって」
風が吹いた
月霞の金色の髪が靡く
リゼラはただ黙って先を待った
抱きしめた槍が震えてカタカタと鳴った
(ez/W64SA, ID:3yZNWKjcO)
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